戸建からの住み替え|失敗しない判断基準や方法・費用を解説
「戸建てからの住み替えってどうなんだろう?正直引越したいけど、本当にやってよかったと思えるのかな」
「戸建てからの住み替えってどう進めればいいの?ざっくりでいいから流れを知りたい」
今住んでいる戸建てから住み替えを検討するなかで、このようにお悩みの方もいるのではないでしょうか。
実際、戸建てからの住み替えは「資金力」と「住環境を変えたいという意思の強さ」の両方が求められます。なんとなく住み替えたいという気持ちだけでは、途中で断念してしまうことも少なくありません。
なぜなら、住み替えはスケジュールがハードで、最低でも手持ち資金が300〜400万円程度必要になるなど、決して負担の軽いものではないからです。
その一方で、こうしたハードルを乗り越えて住み替えを実現し、満足している人もいます。実際、住み替え経験者の61.7%が「住み替えによって生活の満足度が上がった」と回答しています。
出典:LIFULL介護 「高齢期の住み替え経験者に聞く重視するポイント」
後悔のない住み替えにするためには、自分に合った進め方や住み替え先を見極めることが大切です。
そこで本記事では、下記をわかりやすく解説します。
本記事を読んでわかること |
・戸建てから住み替えられるかどうかの判断基準 ・住み替えの進め方である「売り先行」「買い先行」の違い ・それぞれを比較したうえで、自分に合った選び方 |
本記事を読めば、戸建てから住み替えができるかどうか、そしてどのような流れで進めるべきかが明確になります。
ぜひ最後までご覧ください。
1.戸建てからの住み替えは「資金力」と「住環境を変えたいという意思の強さ」が必要

戸建てから住み替えるをする際は、「資金力」と「住環境を絶対に変えたいという意思の強さ」がなければ実行するのは難しいです。
なぜなら、「なんとなく住み替えたい」という気持ちだけでは、途中で計画が頓挫してしまうケースも少なくないからです。
実際に住み替えるには、現在の自宅の売却と新居の購入を同時期に進める必要があり、資金計画やスケジュール調整、不動産会社とのやりとりなど想像以上に多くの準備が求められます。
戸建てからの住み替えは「資金力」「意志の強さ」が必要! なかなか実行しにくい |
【資金力が必要な理由(1)】最低300〜400万円用意しなければならないから 【意志の強さが必要な理由(2)】半年以上のハードスケジュールを求められるから 【意志の強さが必要な理由(3)】戸建て売却は長期化しやすいから |
ここでは何故これらが必要なのか、理由をより詳しく解説していきます。
1-1.【資金力が必要な理由】最低300〜400万円用意しなければならないから
戸建てから住み替えるには、最低でも300~400万円ほどの資金を用意しておく必要があります。
売却と購入をある程度並行して進めるなかで、以下のような費用が発生するためです。
・仲介手数料(売却・購入それぞれで発生) ・登記費用・司法書士報酬 ・住宅ローン関連費用(事務手数料・保証料など) ・引越し費用(2回分になるケースもあり) ・仮住まい費用(先に戸建ての売却を進める場合) |
さらに、新居の購入方法(住宅ローンを組むのか、自己資金で購入するのか)といった資金計画も、あらかじめ整理しておくことが重要です。
すでに戸建ての住宅ローンを組んでいる場合、新居のローン審査は厳しくなり、希望通りの金額を借りられないケースも少なくありません。
とくに見落としがちなのが、ほかの借入状況です。
カーローンやカードローンなど複数の金融機関からの借入があると、借入可能額が10〜30%程度減額されたり、審査に通らなかったりする可能性があります。
住み替えを検討する段階で、ほかの借入はできるだけ完済しておくことが望ましいでしょう。
戸建てからの住み替えでは想定以上に支出が重なりやすく、資金に余裕がないと途中で計画が止まってしまうリスクがあります。
以下のチェックリストであらかじめ自身の資金力をチェックし、戸建てからの住み替えができそうか確認しておきましょう。
資金力のチェックリスト |
基本的にはすべて満たしているのが理想ですが、借入状況を除き、最低でも複数項目にチェックが入るかを目安にしてください。 □最低300〜400万円以上の余裕資金がある(仲介手数料・引越し・仮住まい費用など) □売却が長引いたときに200万円程度費やす資金がある □ローンを組める属性(年収800~1000万円程度・勤続年数1~2年以上など)がある、もしくは新居購入資金を一括でそろえられる □カーローンやカードローンなど複数の金融機関からの借入がない |
1-2.【意志の強さが必要な理由(1)】半年以上のハードスケジュールを求められるから
戸建てから住み替えるには、売却活動と新居探しを並行して進める必要があり、少なくとも半年以上の期間がかかります。
具体的には、以下のような工程を同時に進めていくことになります。
・不動産会社への査定依頼・媒介契約 ・売却活動(内見対応・価格調整) ・新居探し・資金計画の見直し ・売買契約・住宅ローン手続き ・引き渡し・引越し |
とくに売却活動だけでも、具体的に下記のようなハードなスケジュールが求められます。
【売却活動の場合】 入居希望者の内見のたびに自宅を片付けたり、スケジュールを調整したりと、仕事や家庭並行して進めるなかで日常生活にも負担がかかります。 平日は不動産会社との連絡や手続き対応、休日は内見や物件探しに時間を取られることも少なくありません。 さらに、売却と購入のタイミングがずれると仮住まいが必要になるケースもあり、想定以上に手間や時間がかかる可能性もあります。 |
このように、戸建ての住み替えは長期間にわたって複数の煩雑な手続きを同時に進める必要があるため、「多少大変でもやり切る」という意志の強さが求められるのです。
そのため、まずは自身がこのようなスケジュールをやり切れるか、以下のチェックリストで確認しておきましょう。
ハードスケジュールでもやりきる意思の強さチェックリスト |
□仕事が忙しい時期や平日でも不動産会社と連絡・手続き対応ができる □休日の多くを内見や打ち合わせに使うことができる □半年以上のスケジュールでも途中で投げ出さず進めるつもりがある □ 仮住まい(引越し2回)が必要になっても体力的に対応できる |
1-3.【意志の強さが必要な理由(2)】戸建て売却は長期化しやすいから
戸建ての住み替えでは、売却が想定より長引くケースも多く、計画通りに進まないことも珍しくありません。
すぐに買い手が見つかるケースばかりではなく1年程度かかることもあり、売却が長引けば価格の見直しや販売戦略の変更を検討しなければならない場面も出てきます。
「なかなか売れない」という状況は精神的な負担にもなりやすく、焦って価格を下げてしまうといった判断ミスにつながる可能性も生じるでしょう。
以下は株式会社すむたすが、転勤や進学に伴う住み替え経験者を対象に実施したアンケート調査です。

参考:株式会社すむたす「Q.旧居の売却で、特に苦労した・困ったことは何ですか?」
売却時に苦労したことのなかでもっとも多い回答が、所有物件の買い手が見つからなかったことです。
戸建ては下記のような理由で、買い手が見つかるまでに時間がかかりやすいです。
【戸建ての売却が長期化しやすい理由】 ・戸建てにより、立地や築年数、土地の形状など条件による需要の差が大きく、場合によって買い手が見つかるまでに時間がかかりやすい ・マンションと比べて駅から遠いことが多く、築年数が経っている場合や土地の形が悪ければ、需要が下がることも珍しくない |
だからこそ、戸建ての住み替えでは、売却が長引いても焦らず状況を見極めながら進めていく意志の強さが求められるのです。
売却が長引いた場合でも自身が対応しつづけられるか、以下のチェックポイントで確認しておきましょう。
戸建て売却が長引いても対応しつづけられるか、意思の強さチェックリスト |
□ すぐに売れなくても1年は待つ余裕がある □ 想定より価格が下がっても柔軟に判断できる □ 内見対応(片付け・日程調整)を継続しておこなえる □ 不動産会社と販売戦略(価格・広告)の見直しを何度も打ち合わせられる □ 売却が長引いた場合の資金(仮住まい・ローン)を200万円程度余裕をもって確保している |
戸建ての住み替えが難しいかも、と感じたときの対処法 |
戸建ての住み替えは負担も大きいため、「自分には難しいかも…」と感じる方も少なくありません。 その場合は、無理に進めるのではなく、以下のような選択肢から現実的な進め方を検討してみましょう。 ・住み替え時期を先送りにする 「今すぐ住み替えなければならない」という状況でなければ、資金や条件が整うまで準備期間を設けるのもひとつ ・不動産会社に「住み替え前提」で相談してみる 住み替えに慣れている不動産会社に相談することで、現実的な進め方が見えてくる場合もあります。 ・まずは査定だけ依頼して相場を把握する いきなり住み替えを進めるのではなく、現在の自宅がいくらで売れそうかを把握するだけでも、今後の判断がしやすくなります。 まずはできることから始めることで、自分に合った進め方が見えてくるでしょう。 |
2.戸建てから住み替えするときの流れは2パターン

戸建てからの住み替えをすると決めたら、どのような流れで進んでいくのか見ていきましょう。
戸建てから住み替えするときの流れは、「売り先行」と「買い先行」の2パターンです。
詳細を順番に解説していきます。
2-1.売り先行
ここでは売り先行について、基礎知識と具体的な過程・費用を見ていきましょう。
2-1-1.売り先行とは
売り先行は先に所有する戸建てを売り、そのあと新居を購入する以下の流れで進みます。

売り先行では仮住まいへの引越しが必要になる点が特徴です。
先に今住んでいる戸建てを売却するため、新居の引き渡しを受けるまでの間は、賃貸住宅や実家などで一時的に生活する必要があります。

今の家がいくらで売れるかを確定させたうえで新居の予算を決められるため、住宅ローンの借入額を調整しやすく、住み替えるときの資金面で無理をしにくい方法といえます。
ただし、売却後に希望条件に合う新居がすぐ見つからないと、仮住まいの期間が長引く可能性もあるでしょう。
2-1-2.売り先行の具体的な過程や費用
売り先行の具体的な過程や費用は、以下のとおりです。
【売り先行の戸建て売却過程】
工程 | 費用 |
査定 まず売却価格の目安を把握 | 無料 |
媒介契約※1 不動産会社と媒介契約を結ぶ | 無料 |
売却活動 不動産会社が不動産ポータル掲載や広告などを通じて買主を探す | 無料 |
売買契約※2 買主と売買契約を締結する | 印紙税:200円〜48万円(売却価格により異なる) |
戸建ての引き渡し 代金受領と同時に物件を引き渡し、住宅ローンは完済する。 | 仲介手数料:売買価格×3.3%+6万6000円 抵当権抹消登記費用※3:1,000円 司法書士費用:16,000円程度 |
仮住まいへ引越し 新居完成・購入までの間、一時的に賃貸住宅などへ住む | 引越し費用:10〜30万円程度 仮住まいの家賃:期間による 敷金礼金:家賃による |
新居へ引越し 新居の引き渡しを受けたら本引越しをおこない、住み替え完了 | 引越し費用:10〜30万円程度 |
※1媒介契約:不動産会社へ仲介を依頼し、買主を探すための売却活動をしてもらうための契約
※2売買契約:「いくらで売るか・いつ引き渡すか」などの条件を決める契約
※3抵当権抹消登記費用:住宅ローンを支払えないとき、家と土地を銀行が取り上げる権利を抹消する費用
【売り先行の新居購入過程】
工程 | 費用 |
資金計画 売却資金をもとに頭金・諸費用・住宅ローン借入額を算出する | 無料 |
新居探し 希望エリア・条件をもとに物件を探し、購入物件を決定する | 無料 |
売買契約 購入物件の売買契約を締結し、手付金を支払う | 手付金:物件価格の5〜10%程度 印紙税:200円〜48万円(契約金額により異なる) 仲介手数料:売買価格×3.3%+6万6000円 |
住宅ローン締結 住宅ローンの本審査を申し込み、承認後に金銭消費貸借契約を結ぶ。 融資実行後、残代金を支払い物件の引き渡しを受ける |
事務手数料:3~11万円程度または借入額の2.2% 保証料:借入金額の2%程度 登録免許税:固定資産税評価額の0.15~2% 司法書士費用:5万円程度 火災保険料:2~5万円程度/年 |
新居へ引越し 新居の引き渡しを受けたら本引越しをおこない、住み替え完了 | 引越し費用:10〜30万円程度 |
これらを踏まえて売り先行で戸建てからの住み替えをする場合、仮に売却する戸建てが2500万円、購入予定の物件が5,000万円の場合では、約300〜400万円+仮住まい費用が必要になります。
仮住まいの家賃が15万円の場合は以下の資金、計70〜105万円程度プラスになるので500万円弱はかかると認識してください。
・家賃3か月:45万円 ・敷金礼金:15〜30万円 ・引越し(仮住まい):10〜30万円 ・計70〜105万円程度プラス |
売り先行で把握しておきたいポイント |
資金不足を防ぎ、スムーズに住み替えを進めるためにも、売り先行では以下3つのポイントを把握しておきましょう。 ・住宅ローンは原則売却代金で完済する 売却時には、現在の住宅ローンを売却代金で完済する必要があります。 売却価格でローンを完済できない場合(オーバーローン)は、自己資金で不足分を補う必要があるため、事前に残債額と査定価格を照らし合わせて確認しておきましょう。 ・仮住まいが必要になるケースがある 旧居の引き渡しから新居の引き渡しまでの間は、仮住まいが必要になります。 仮住まいの期間は、新居の建築状況や購入物件の引き渡し時期によって異なりますが、一般的には3か月〜半年程度を想定しておくと安心です。 家賃や敷金・礼金などの費用もあらかじめ見込んでおきましょう。 ・引越し費用は2回分かかる 仮住まいを挟む場合、引越しが2回発生します。 引越し費用は合計で20〜60万円程度かかるケースが一般的です。 |
2-2.買い先行
つづけて買い先行について、基礎知識と具体的な過程・費用を見ていきましょう。
2-2-1.買い先行
買い先行は新居を先に購入し、その後戸建てを売却する流れで進みます。

買い先行では、先に新居を購入してから現在の戸建てを売却するため、仮住まいを用意する必要がなく、引越しは一度で済みます。
一方で、現在の住まいが売れる前に新居の住宅ローンを組む二重ローンになるため、売却が長引いた場合の資金負担も考慮しておく必要があります。
買い先行で住み替えを進める場合は、現在の住宅ローン残高や売却見込み価格を踏まえたうえで、無理のない資金計画を事前に確認しておくことが重要です。
2-2-2.買い先行の具体的な過程や費用
買い先行の具体的な過程や費用は、以下のとおりです。
【買い先行の戸建て売却過程】
工程 | 費用 |
査定 不動産会社に査定依頼し、売却価格の目安を把握する | 無料 |
媒介契約※1 売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結ぶ | 無料 |
新居へ引越し 新居の引き渡しを受けたら本引越しをおこない、住み替え完了 | 引越し費用:10〜30万円程度 |
売却活動 不動産ポータル掲載や広告、内覧対応などを通じて買主を探す | 無料 |
売買契約※2 買主と売買契約を締結する | 印紙税:200円〜48万円(売却価格により異なる) |
戸建ての引き渡し 代金受領と同時に物件を引き渡し、住宅ローンは完済する。 | 仲介手数料:売買価格×3.3%+6万6000円 抵当権抹消登記費用※3:1,000円 司法書士費用:16,000円程度 |
※1媒介契約:不動産会社へ仲介を依頼し、買主を探すための売却活動をしてもらうための契約
※2売買契約:「いくらで売るか・いつ引き渡すか」などの条件を決める契約
※3抵当権抹消登記費用:住宅ローンを支払えないとき、家と土地を銀行が取り上げる権利を抹消する費用
【買い先行の新居購入過程】
工程 | 費用 |
資金計画 現在の住宅ローン残高や自己資金をもとに購入予算を検討。 住宅ローン借入額や諸費用の目安を算出する | 無料 |
新居探し 希望エリア・条件をもとに物件を探し、購入物件を決定する | 無料 |
売買契約 購入物件の売買契約を締結し、手付金を支払う | 手付金:物件価格の5〜10%程度 印紙税:200円〜48万円(契約金額により異なる) 仲介手数料:売買価格×3.3%+6万6000円 |
住宅ローン締結 金銭消費貸借契約を結び、残代金を支払い物件の引き渡しを受ける | 事務手数料:3~11万円程度または借入額の2.2% 保証料:借入金額の2%程度 登録免許税:固定資産税評価額の0.15~2% 司法書士費用:5万円程度 火災保険料:2~5万円程度/年 |
新居へ引越し 新居の引き渡しを受けたら本引越しをおこない、住み替え完了 | 引越し費用:10〜30万円程度 |
これらを踏まえて売却する戸建てが2500万円、購入予定の物件が5,000万円の場合を例にすると、買い先行では約300〜400万円+戸建ての住宅ローンがかかります。
そのため買い先行を選ぶには二重ローンや売却遅延に備える必要があるため、3か月〜半年程度は耐えられる資金余力なければ成り立ちません。
たとえば以下のような状況の場合、6か月間は戸建てと新居の支払いが重なると180万円ほどかかることになります。
・ローン返済額月10万円 ・固定資産税:年15万円 ・戸建て売却までの期間:6か月 |
6か月でかかる 二重ローンのコスト例 | 戸建て | 新居 |
・ローン返済額:月10万円×6か月 ・固定資産税:年15万円 計75万円程度 | ・ローン返済額:月15万円×6か月 ・固定資産税:年15万円 計105万円程度 | |
合計 | 180万円 | |
数か月間ローンが重なっても生活に支障が出ない場合に限り、買い先行を選択できると考えておきましょう。
買い先行で把握しておきたいポイント |
想定外の資金負担やスケジュールのズレによるトラブルを防ぎ、無理のない住み替え計画を立てるためにも、買い先行では以下3つのポイントを把握しておきましょう。 ・二重ローンの発生に備える必要がある 買い先行では、新居へ引越したあとも旧居の売却活動が続きます。 戸建てにローンが残っている場合は、一定期間、新居と旧居の住宅ローンを二重で支払うことになります。 売却完了までの期間は物件の条件や市況によって異なりますが、一般的には3〜6か月程度を想定しておくと安心です。 ・資金計画は「二重支払い前提」で考える そのため新居購入時には、新居のローンだけでなく、旧居のローン残高や毎月の返済額も含めて資金計画を立てることが重要です。 この点を見落とすと、想定以上の資金負担により家計が圧迫されるリスクがあります。 ・オーバーローンにも注意しておく 売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の状態では、不足分を自己資金で補えなければ住み替え自体が難しくなる可能性があります。 そのため、事前にローン残債と査定価格を把握しておくことが重要です。 |
3.戸建てから住み替える「売り先行」「買い先行」を比較

「売り先行」と「買い先行」の流れについてご理解いただいたところで、違いを比較してみましょう。
比較項目 | 売り先行 | 買い先行 |
期間 | 最短6ヵ月 | |
費用目安 ※売却する戸建てが2500万円、購入予定の物件が5,000万円の場合を例にして記載 | 約300〜340万円+仮住まい費用 例)家賃15万円の場合 家賃3か月:45万円 敷金礼金:15〜30万円 引越し(仮住まい):10〜30万円 計70〜105万円程度プラス | 約300〜340万円 |
売却活動の進めやすさ | 〇 価格や売却タイミングを調整できる | × 早く売る必要があり 価格調整の余裕が少ない |
売却期限のプレッシャー | × | 〇 |
資金計画の立てやすさ | 〇 | × |
コストのかかりやすさ | 〇 引越し2回 仮住まい費用あり | × |
住宅ローンの二重リスク | × | 〇 戸建てと新居の二重ローン |
新居へのこだわりやすさ | × 仮住まい期間が長くなる可能性あり 条件を妥協して決めるケースも | 〇 気に入った物件が出るまで 待てる |
住み替え スケジュールの調整 | × 旧居の引き渡し時期・ 仮住まい期間の 影響を受けやすい | 〇 新居購入のタイミング・ 引越し時期を 自分のペースで決めやすい |
向いているケース | ・【当てはまったら売り先行】 売却資金を新居の購入費用に充てたい ・住宅ローンの二重負担を避けたい ・資金計画を重視したい ・仮住まいの手間・費用を許容できる | ・【絶対条件】戸建てを所有しながら住宅ローンを組める高属性である(会社員、手持ち資金が多いなど) ・新居をこだわって選びたい ・仮住まいを避けたい ・すでにローンがない |
向いていないケース | ・仮住まいの手間・費用をかけたくない ・引越し回数を増やしたくない ・新居探しに時間をかけたい | ・新居のローン審査が通りにくい ・自己資金・収入がない ・需要のないエリアに戸建てがある |
「売り先行」と「買い先行」は、どちらが優れているわけではなく、自分の資金状況やかかる期間などを踏まえて選ぶことが大切です。
ここでは、「売り先行」と「買い先行」について、費用面と期間の面で比較していきます。
3-1.費用面で比較
まずは「売り先行」と「買い先行」について、費用面で比較していきます。
比較項目 | 売り先行 | 買い先行 |
期間 | 最短6ヵ月 | |
費用目安 ※売却する戸建てが2500万円、購入予定の物件が5,000万円の場合を例にして記載 | 約300〜340万円+仮住まい費用 例)家賃15万円の場合 家賃3か月:45万円 敷金礼金:15〜30万円 引越し(仮住まい):10〜30万円 計70〜105万円程度プラス | 約300〜340万円 |
資金計画の立てやすさ | 〇 売却後に資金が確定した状態での 資金計画〜 | × 売却価格が未確定のまま、 資金計画 |
コストのかかりやすさ | 〇 引越し2回 仮住まい費用あり | × |
住宅ローンの二重リスク | × | 〇 戸建てと新居の二重ローン |
売り先行と買い先行では、どちらも約300〜340万円と売却費用と購入費用そのものは大きく変わりません。
ただし、仮住まいの有無や住宅ローンが一時的に二重になる可能性によって、実際の負担感には差が出ます。
そのため「売り先行」と「買い先行」を比較する場合、「どれだけ資金に余裕があるか」を考慮したうえで、「資金計画の立てやすさをどれだけ重視するか」が判断のポイントになります。
判断のポイント |
費用面での判断は、次の流れで考えると整理しやすくなります。 1.資金に余裕があり、二重ローンに耐えられる! → 【資金力は絶対】買い先行を検討しやすい 2.資金リスクを抑え、確実に進めたい → 【資金力の有無は関係なし】売り先行が現実的 |
資金に余裕がある場合は買い先行を選択でき、そのうえでリスクを抑えたい場合は売り先行と考えておきましょう。
3-2.期間の面で比較
「売り先行」と「買い先行」について、期間の面で比較していきます。
比較項目 | 売り先行 | 買い先行 |
期間 | 最短6ヵ月 | |
売却活動の進めやすさ | 〇 売れるまで待てる 価格や売却タイミングを調整できる | × 早く売る必要があり 価格調整の余裕が少ない |
売却期限のプレッシャー | × | 〇 |
新居へのこだわりやすさ | × 仮住まい期間が長くなる可能性あり 条件を妥協して決めるケースも | 〇 気に入った物件が出るまで 待てる |
住み替え スケジュールの調整 | × 旧居の引き渡し時期・ 仮住まい期間の 影響を受けやすい | 〇 新居購入のタイミング・ 引越し時期を 自分のペースで決めやすい |
売り先行と買い先行は、どちらも最短で6ヵ月程度が目安ですが、実際には「どちらを先に進めるか」によってスケジュールの自由度が大きく変わります。
判断のポイント |
期間面での判断は、次のように考えると整理しやすくなります。 ・売却を有利に進めたい・価格にこだわりたい → 【売却重視】売り先行 ・新居の条件にこだわりたい・納得して選びたい → 【新居重視】買い先行 |
売り先行は、先に戸建ての売却を進めるため、
【メリット】 ・売れるまで気長に待てる ・売却価格や引き渡し時期を自身のタイミングで調整できる 【デメリット】 ・売却後は仮住まい・新居への2回引越しが必要で、スケジュールはハードになる ・仮住まいの期間が長引けば、新居を急いで決める必要があり、条件を妥協しやすい |
といったように売却を自分のペースで進めやすく、仮住まいへ引越し後は家賃を支払いながら新居探しを進める必要があり、期間が長引くほど費用負担が増える点に注意が必要です。
一方買い先行は、先に新居を購入するため、
【メリット】 ・気に入った物件が出るまで待てる ・引越し時期を自分のペースで決めやすい 【デメリット】 ・住宅ローン負担を抑えるために早く売る必要がある ・売却価格の調整余地が少なくなる |
といったように新居選びや住み替えスケジュールの自由度が高いのが特徴で、新居購入後は旧居の売却を進める必要があるため、売却に期限のプレッシャーがかかりやすくなります。
そのため期間面において「売り先行」と「買い先行」を選択するときは、売却活動と新居のどちらを優先したいかで決めましょう。
4.戸建てで「売り先行」「買い先行」かどちらで住み替えするか決めよう

前章の比較を踏まえ、実際に「売り先行」「買い先行」のどちらの方法で住み替えするかは、「資金面」と「何を優先したいか」で、決めましょう。
以下のフローチャートを活用すると判断しやすくなります。

フローチャートの内容について詳細をお伝えしていきます。
4-1.資金力がない場合:売り先行一択
まず、資金力がない場合は、買い先行は現実的な選択肢になりにくく、売り先行を検討するのが基本です。
なぜなら、ここまでご説明してきた通り、買い先行にはそれ相応の資金力が必要だからです。
買い先行は新居を「自宅の売却よりも先に」購入することになります。そのためすでに契約している住宅ローンの残債により、下記2パターンの対応が必要です。
住宅ローンの残債がある場合 | 二重でローンを組む必要がある →通常、二重ローンは審査が厳しく難易度が高い →組めても住み替えまでおよそ200万円弱の支払いが必要になる |
住宅ローンが残債がない場合 | 新居を現金一括で支払う必要がある →新築で5,000万円ほど必要なため難易度が高い |
このように二重ローンを組めるだけの信用力と支払い余力があるか、もしくは手持ち資金で新居を購入できるかのどちらかを満たさなければ、買い先行は難しくなります。
二重ローンが可能かどうかを判断する際は、以下を目安にしてみてください。
二重でローンを組めるかチェックリスト |
すべてに当てはまるほど、二重ローンを組める可能性が高くなります。 □世帯年収が800~1,000万円以上あるか □勤続が2〜3年以上あるか □現在の住宅ローン残高が売却予定価格以内か □自己資金(預貯金)が400~700万円以上あるか □カーローン・カードローンなどほかの借入が少ないか |
仮に資金力がある場合は、さらに次の章で何を優先すべきか決めていきましょう。
4-2.資金力がある場合:何を優先すべきかで決めよう
資金に余裕がある場合は、買い先行・売り先行のどちらも選択できます。
そのため、「何を優先したいか」を基準に、自分に合った方法を選びましょう。
売り先行がいいケース |
次のような考え方に当てはまる場合は、売り先行が適しています。 ・売却資金を新居の購入費用に充てたい ・住宅ローンの二重負担を避けたい ・資金計画の確実性を重視したい ・仮住まいの手間や費用は許容できる 売り先行は売却資金をもとに無理のない予算で新居を選べるため、資金面の不安を抑えながら計画的に住み替えを進めたい方に向いています。 |
買い先行がいいケース |
次のような考え方に当てはまる場合は、買い先行が適しています。 ・希望条件に合う新居を妥協せずに選びたい ・仮住まいを挟まずスムーズに住み替えたい ・引越し回数をできるだけ減らしたい 買い先行は住まいの満足度や生活のスムーズさを優先し、納得できる物件をじっくり選びたい方に向いています。 |
ここで、実際に売り先行・買い先行を選択した人の声をまとめました。
【売り先行】
【よかった声】 ・売れてから住み替え先を決めたので、二重ローンや固定資産税の二重負担を避けられた ・ローン残債があり二重ローンは難しいと判断。資金計画を綿密に立て、予算内で無理なく住み替えられた 【失敗の声】 ・売り出してから半年間、内覧がほぼゼロ。なかなか売れず不安だった ・家が売れるまで住み替え先を正式に決められず、約1年間宙ぶらりんの状態が続いた |
参考:すまいステップ
【買い先行】
【よかった声】 ・新居探しに時間をかけられ、これだという物件が見つかったタイミングで即決できた ・仮住まいへの引越しが不要で、新居に直接移れた 【失敗の声】 ・2重でローンを組んだため、早く売らなければというプレッシャーがあった ・買主から当初かなり低い価格で申し込みが入り、価格交渉が難しかった ・売主側ではコントロールできない検討中の買主の返答待ちなどがあり、売却まで長かった |
参考:マンションナビ
口コミからも、
「資金面の安心を取るなら売り先行」
「住み替えの自由度を優先するなら買い先行」
であることをおわかりいただけるでしょう。
無理のない資金計画とスケジュールを立てられるよう、自分に合った方法で住み替えを進めてください。
5.住み替え後の戸建ては、売却以外に「貸す」という選択肢もある

住み替えの方法として真っ先に思い浮かぶのは売却ですが、戸建てを賃貸に出すという選択肢もあります。
なぜなら、売却にはない下記のようなメリットがあるからです。
・住み替え後も資産を手放さずに家賃収入を得られる ・賃貸として運用しながら売り時を待てる ・将来的に再び自分で住む選択肢を残せる |
すべての戸建てが賃貸向きとはいえませんが、次のいずれかのケースに当てはまる場合は需要があり、貸し出しせる可能性が高いでしょう。
・駅から徒歩圏内、周辺に商業施設があるなど利便性の高いエリアにある ・築年数が比較的新しい ・3LDKや4KDKなどファミリー向けの広さがある ・自由にリフォームしてもよい |
とくに利便性の高いエリアにある物件は需要が高く、ファミリー向けの広さがあればいっそう入居者が集まりやすくなります。
仮にぼろぼろの戸建てであってもデッキの取り付けや芝生の施工など、リフォームを認めることで、自由度を求める入居者層に響くケースもあります。
売却以外にも賃貸という選択肢を視野に入れながら、自身の状況に応じて最適な方法で戸建てからの住み替えを検討しましょう。
賃貸に出す場合は管理会社選びが非常に重要 |
戸建てを賃貸に出す場合は、管理会社選びが非常に重要です。 入居者の募集力・手数料・トラブル対応の質は会社によって大きく異なり、どこに任せるかが空室期間や収益性に直結するためです。 とはいえ、住み替えの手続きと並行して管理会社を一社一社比較するのは容易ではありません。 そこで活用したいのが、賃貸管理会社の一括査定サービス「いざ貸す」です。 ![]() いざ貸すは物件情報を一度入力するだけで、全国650社以上の提携管理会社の中から物件・エリアに合った会社を最大6社ピックアップ。 オーナー側の利用料は完全無料にもかかわらず、賃料の目安・管理手数料・入居付けの方針などを含めた提案を受けることができます。 累計査定利用者数は11万人を突破し、賃貸管理一括査定サービスのなかでも2年連続1位を獲得した満足度の高さも魅力です。 ![]() ※2025年12月 EC@JAPAN協会調べ インターネット調査を利用したイメージ調査(Surveroidを利用) https://surveroid.jp/ 調査概要:マンション・一戸建ての所有者、オーナー、大家が、不動産管理会社へ一括で査定を依頼するサービス(5サービス)といざ貸すを比較したイメージ調査 調査対象:自分の不動産を所有している全国30代以上の男女323名(不動産査定サービスの利用経験者を含む) モニター抽出方法:インターネット調査用パネルからランダムに抽出 戸建てを売却する前に、少しでも「貸してみようかな?」というお考えをお持ちであれば、ぜひまずは査定から始めてみましょう。 |
6.まとめ
戸建てからの住み替えがどのようなものなのか、理解を深められましたでしょうか。
最後に、本記事の要点をまとめていきます。
◎戸建てからの住み替えは「資金力」と「住環境を変えたいという意思の強さ」が必要です。
◎戸建てから住み替えするときの流れは、「売り先行」と「買い先行」の2パターンです。
◎戸建てで「売り先行」「買い先行」かどちらで住み替えするかは、フローチャートの活用がおすすめです。

◎住み替え後の戸建ては、売却以外に「貸す」という選択肢もあります。
あなたが最善の方法で、戸建てから住み替えできることを祈っています。
Author
河上 隼人 HAYATO KAWAKAMI
株式会社エイムプレイス 代表取締役
1980年11月8日生まれ 広島県出身
インターネットメディア事業「いざ貸す」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。

