相続・実家・空き家の活用法

親のマンションを相続するための5ステップ|一から丁寧に解説

河上 隼人 監修者:河上 隼人
親のマンションを相続するための5ステップ|一から丁寧に解説

「これから親のマンションの相続を始めるけど何から手を付けたらいい?」


このように、今後の動き方に見通しが立てられずお困りなのではないでしょうか。


親のマンションの相続は、以下の手順で進めます。


親のマンションの相続を進める流れ

概要

(1)誰が継ぐことになっているかを確認する

遺言書の有無や法定相続人を調べ、相続人の範囲を確定する

(2)マンションの資産価値を確認する

活用方法や誰が継ぐかを決めるための判断材料になる

(3)マンション相続後の活用方法を考える

住む・売る・貸すの選択肢から、自分に合った活用方法を決める

(4)正式に誰が継ぐかを決める

遺産分割協議をおこない、相続人全員で分け方を決定する

(5)相続の手続きをする

相続税の申告・納付や相続登記などの必要な手続きを進める

この流れに沿って手続きをすることで、親の意思を尊重しながら、費用や手間、親族間の負担を抑えながら相続を進められます。



ただし、相続は法律や税金がかかわるため、進め方を誤るとトラブルや損につながる可能性もあり注意が必要です。



そこで本記事では、失敗しやすいポイントや判断時のコツも含め、親のマンションを相続するための全手順を解説していきます。


本記事を読んでわかること

  • 親のマンションを相続する流れと方法

  • 相続後の活用方法

  • 発生する費用目安

  • 失敗しやすいポイント



最後まで読めば、親のマンションの相続について全体像が理解でき、自分が何から始めるべきか明確になります。

ぜひご覧ください。

1.親のマンションの相続を進める流れ


親のマンションの相続は、以下の手順で進めます。


相続をするための流れ

概要

(1)誰が継ぐことになっているかを確認する

遺言書の有無や法定相続人を調べ、相続人の範囲を確定する

→確定しないと、以降の手続きがすべて進められない

(2)マンションの資産価値を確認する

マンションの評価額や維持費を調べる

→活用方法や相続の仕方を決めるための判断材料になる

(3)マンション相続後の活用方法を考える

住む・売る・貸すの選択肢から、自分に合った活用方法を検討する

→活用方針が決まっていないと遺産分割協議の方向性が定まらない

(4)正式に誰が継ぐかを決める

遺産分割協議をおこない、相続人全員で分け方を決定する

→相続人全員が合意し遺産分割協議書を作成すると相続が確定する

(5)相続の手続きをする

相続税の申告・納付や相続登記などの必要な手続きを進める

→誰が継ぐかが確定したので、相続税の申告・相続登記が進められる


手続きや判断が多く複雑に感じるかもしれませんが、流れに沿って1つずつおこなえば滞りなく進められます。


ポイント

  • 誰が継ぐことになっているかの確認

  • 資産価値の確認


を早い段階でおこなうことが、スムーズに進めるポイントです。

次の章からは相続の手順を順番に解説していきます。


2.親のマンションの相続STEP(1)誰が継ぐことになっているかを確認する


まずは親のマンションを誰が継ぐことになるか、以下の手順で確認していきましょう。


手順

※上から順に行います

詳細

遺言書の有無を確認する

遺言書に期限はないため、相続後に遺言書が見つかった場合、財産分与を一からやり直すことになるため

【遺言書があった場合】

有効かどうか確認する

偽造・変造されていた場合、無効の可能性があるため

法定相続人を確定させる

遺言書があっても法定相続人であれば最低限の遺産はもらえるため

特に、遺言書の有無により、相続人の決め方が変わるので、必ず確認が必要です。

遺言書がある場合

(1)基本的には遺言書の内容が相続では優先される

「長男に不動産を相続させる」と明記→長男が不動産を継ぐ

(2)法定相続人を調査する

相続人の範囲を正確に把握し、遺留分の確認をおこなう

遺言書がない場合

(1)「2-3.法定相続人を調査する」にて法定相続人を把握

(2)誰がマンションを相続するか決める

法定相続人:亡くなった人の財産を相続できる人の範囲

遺留分:兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保証された遺産


順番に解説していきます。


2-1.遺言書の有無を確認する

まず、遺言書の有無を調べましょう。

遺言書の種類により、保管場所が異なるので注意が必要です。


遺言書の種類

概要

保管場所

自筆証書遺言

本人が手書きした遺言書

自身で決めた場所

例)自宅や貸金庫など

【レア】

秘密証書遺言

本人が内容を秘密にしたまま、存在のみ公証役場に届け出た遺言書

※利用されるケースは少ない

自身で決めた場所

例)自宅や貸金庫など

公正証書遺言

公証人が記載した遺言書

公証役場


確認手順は、以下のとおりです。


  • 【まず確認】役場に確認する

  • 親が遺言書をしまった場所を探す


順番に解説していきます。


2-1-1.【まず確認】役場に確認する

まずは役場へ行き、公正証書遺言や秘密証書遺言が作成されているかえを確認しましょう。


近くの公証役場へ行くと、遺言検索システムを使用して無料で検索してもらえます。


▼下記公証役場一覧よりお近くの役場をご確認ください

https://www.koshonin.gr.jp/list


役場へ行く際は、以下の3つの必要書類を持参しましょう。


書類の種類

概要

除籍謄本

遺言者が死亡した事実を証明する

750円


※本籍地の市区町村役場または郵送により取得できます

戸籍謄本

遺言者の相続人であることを証明する

450円


※本籍地の市区町村役場または郵送等により取得できます

申出人の本人確認書類

マイナンバーカード、運転免許証等

2-1-2.親がしまった場所を探す

自筆証書遺言や秘密証書遺言のようにそもそも遺言書があるかわからない場合や、どこにしまったか不明の場合は、相続人が探す必要があります。

一般的によくある可能性としては以下が挙げられます。


【家の中】

  • 親の机、引き出し、タンスの中

  • 通帳や貴重品などを保管している場所

  • 鍵がかけられる収納場所

  • 仏壇周り(※仏壇の奥に引き出しがあることも)

  • 自宅内の金庫


【家の外】

  • 銀行の貸金庫の中

  • 実家

  • 信頼している友人・知人に預けている

  • 行政書士や弁護士などの専門家に預けている



見落とすことの多いのが、家の中にあると思っていたら、信頼できる人に預けていたパターンです。



親の交友関係もすべて洗いながら探しましょう。


【失敗しやすいポイント】

遺言書は見つけても絶対に開封してはならない

遺言書は、勝手に開封してはいけません。


検認前の開封は5万円以下の過料の対象となるからです。


見つけた時点で手を触れず、速やかに家庭裁判所へ申立てをおこないましょう。

2-2.【遺言書があった場合】有効かどうか確認する

自筆証書遺言または秘密証書遺言が見つかった場合は、遺言書が本物であるか、改ざんされていないかを確認するために、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になります。


検認の申立ては、遺言書の保管者または相続人が、下記の流れでおこないます。


【検認の申立ての流れ】

  1. 「遺言書の検認の申立書」から申立書をDLする

  2. 申立先の裁判所を「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」を確認して提出する

  3. 返送された書類に沿って裁判所へ出向く


【費用の目安】


2-3.法定相続人を確定させる

遺言書の有無を確認したのち、遺言書の有無にかかわらず、法定相続人を調査し・確定させましょう。


遺言書があり、法定相続人が含まれていなかった場合でも、「遺留分」と呼ばれる取り分があるからです。


法定相続人:亡くなった人の財産を相続できる人の範囲

遺留分:兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保証された遺産


〇〇には相続させないとあった場合でも、法定相続人であれば最低限の遺産はもらえるのです。


具体的には、下記の手順で進めます。


2-3-1.法定相続人を調査する

2-3-2.相続人の範囲を確定させる


順番に解説していきます。


2-3-1.法定相続人を調査する

まず、法定相続人を正しく調査するには、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までのすべての戸籍を取り寄せる必要があります。


【戸籍を取り寄せる理由】

結婚・離婚・認知などの履歴をすべて確認し、相続人の漏れを防ぐため

  • 過去の結婚で子がいる場合

  • 認知している子がいる場合

現在の戸籍だけでは把握できないことがあるため


知らないうちに認知した子がいるケースなどもまれにあるため、戸籍の確認は必須です。


【失敗しやすいポイント】

相続人を見落とすと相続確定後でもやり直しが必要

相続人を見落とすと、相続確定後でもやり直しが必要になることがあります。

戸籍の確認を省略してしまい、被相続人が認知した子どもがいた場合、その方も法定相続人となるためです。

相続人の確定は、必ず出生から死亡までの全戸籍を取り寄せたうえでおこないましょう。


2-3-2.相続人の範囲を確定させる

相続人の範囲、つまり法定相続人は以下の順番で決まります。


【法定相続人】

配偶者:常に相続人になる

第1順位:子ども(すでに亡くなっている場合は孫)

第2順位:親(子どもがいない場合)

第3順位:兄弟姉妹(子どもも親もいない場合)


※上の順位がいる場合は下の順位には相続権が発生しません

※人数に上限はなく、同じ順位の相続人が複数いる場合は均等に分けるのが原則です


〈例〉母が亡くなった場合

  • 父:既に他界

  • 子:自分と弟の2人

    相続人は自分と弟の2人で、法定相続分は2分の1ずつが原則です。

以下の手順で、法定相続人を正しく確定させましょう。


法定相続人の確定手順

詳細

1.親の死亡時の戸籍(除籍謄本)を取得する

最終の本籍や家族関係を確認

戸籍請求の起点を把握

2.戸籍を遡り相続人候補を洗い出す

出生までの身分関係(婚姻・子どもなど)をすべて把握

3.相続人全員の戸籍謄本を取得する

関係性と存命であることを証明

4.相続人を確定する

収集した戸籍をもとに相続人の範囲を確定

3.親のマンションの相続STEP(2)マンションの資産価値を確認する

誰が相続するかの見通しが立ったら、次はマンションの「価値」と「維持にかかるコスト」を以下の方法で把握しましょう。


マンションの資産価値を確認する

3つの必須項目

マンションの評価額を調べる

売却時の資産価値がわかる

マンションを賃貸査定に出す

貸出時の資産価値がわかる

マンションの維持費を調べる

マンションを維持する場合のコストがわかる



基本売却になるケースが多いですが、「賃貸査定」をして、賃貸として活用できる場合は以下のようなメリットがあります。


  • 毎月の家賃収入が得られる

  • 将来売却するまで資産として保有し続けられる

  • 管理費や修繕積立金などの維持費をカバーできる可能性がある

売却査定と同様に、賃貸査定も不動産会社や管理会社に依頼できるため、資産価値の一つとしてあわせて確認しておきましょう。

3-1.マンションの評価額を調べる

親のマンションが「いくらくらいで売れるのか」評価額を把握しましょう。

不動産は定価がなく、同じエリア・同じ築年数でも、立地や階数、管理状態などによって価格が大きく変わります。

そのため自己判断ではなく、下記のような査定方法を活用して相場を把握する必要があります。

【主な査定方法】

  • 簡易査定(机上査定):周辺の相場から算出する

  • 訪問査定:実際の状態を見て価格を算出する


【ポイント】

  • 正確な売却価格の算出は、訪問査定を選択しましょう

  • 3~4社の複数社が算出した数値を比較しましょう

不動産会社によって査定額には差が出るため


不動産会社は以下の方法で探し、依頼しましょう。


【不動産会社の探し方】

一括査定サイトで複数社に査定を依頼しましょう


※自身で見つけたい場合は下記の方法も有効です

  • SUUMOやHOME'Sなどのポータルサイトで探す

  • マンションの近隣で営業している会社に相談する

  • 知人や家族から紹介してもらう


3-2.マンションを賃貸査定に出す

次に売却査定と並行して、賃貸査定も依頼し、いくらの家賃収入が見込めるのかを確認しておきましょう。


賃貸は継続して収益を得られたり、自身の子どもへの相続として活用できたり、選択肢が広げられるからです。


賃料はエリアや築年数、間取りによって大きく異なるため、自己判断ではなく賃貸査定を活用するのが基本です。


賃貸査定では、


  • いくらで貸せるのか(想定家賃)

  • 空室になりにくい条件

  • どう貸すか管理会社ごとの提案内容

  • 管理会社の手数料


などを具体的に知ることができます。


【失敗しやすいポイント】

複数社を比較検討しないと損や後悔をすることに

査定は1社だけで判断せず、必ず複数社を比較しましょう。


【複数社を比較すべき理由】

(1)1社だけでは適正な相場が判断できない

不動産会社により、査定額に百万円以上の差が出ることも珍しくありません。


(2)後悔しやすい

「もっと高く売れた」など後悔につながる可能性があります。


【ポイント】

このとき、効率よく比較できるのは一括査定サイトの利用です。


一度の入力で複数社の提案を受けられるため、手間をかけずに相場感を把握できます。


なかでも「いざ貸す」は、賃貸査定に特化した一括査定サービスで、物件情報を入力するだけで最大6社から提案を受けることが可能です。


全国650社以上と提携しており、地方の物件にも対応しています。利用料は完全無料のため、初めての方でも気軽に比較できます。


査定は、一括査定サービスを便利に活用して複数社を比較し、納得できる条件で判断しましょう。


3-3.マンションの維持費を調べる

また、毎月どのくらいの維持費がかかるのかを把握することが重要です。


不動産は保有するだけでも、年間80万〜100万程度と、意外と費用がかかり負担になるからです。


【一般的な費用目安】

項目

概要

管理費

共用部分の清掃や設備管理にかかる費用

月1万〜3万円程度

修繕積立金

将来の大規模修繕に備えて積み立てる費用

月1万5,000円程度

固定資産税・都市計画税

マンションを持っていることで毎年かかる税金

固定資産税・都市計画税:それぞれ数万~20万円

火災・地震保険料

万が一に備える保険

年3万円程度

光熱費

基本料金のような最低限発生する費用

年6万円程度

合計

年間80~100万円程度


これらは居住していなくても発生するため、何も活用しないまま保有し続けると負担だけが増えていく状態になります。


そのため、あらかじめ維持費を把握し、「持ち続けられるか」を確認しておくことが重要です。


【ポイント】

住宅ローンは基本的に完済されるため

維持費に含まれない

親が住宅ローンを組んでいた場合、「団体信用生命保険(団信)」に加入していれば、本人が亡くなった時点でローン残債は消滅します。


そのため、多くのケースでは相続人が住宅ローンを引き継ぐことはありません。


ただし健康上の理由や昔の条件の違いなどから、団信に未加入のケースもまれにあり、ローン残債も相続の対象となることから、相続人が引き継ぐことになります。


まずは金融機関に問い合わせて、残債の有無と団信の加入状況を確認しましょう。


4.親のマンションの相続STEP(3)マンション相続後の活用方法を考える



マンションの資産価値や維持費、賃料の目安を把握したら、次に相続後にどう活用するかを考えましょう。


親のマンションの主な活用方法は、以下の3つです。


主な活用方法

向いているケース

自分で住む

住宅費をできるだけ抑えたい!

親のマンションの立地や条件に満足できる

売却する

手間をかけたくない!

将来的に利用する予定がないからすぐに現金化したい

賃貸に出す

マンションを手放したくない!

将来的な売却や再入居の選択肢を残しておきたい


それぞれ費用や、メリット・デメリットが異なるため、自分の状況に合った選択をすることが重要です。


4-1.住む:自身の住宅費を抑えられる

親のマンションに自分や家族が住むという選択肢は、新たに住まいを用意する必要がないため、住居費を抑えられます。


ここからは、


  • 費用

  • メリット・デメリット

を踏まえて、どんな人に向いているかを丁寧に解説していきます。


4-1-1.費用

費用はマンションの状況にもよりますが、リフォームをする場合は400万円程度見ておけば生活に支障なく移り住めるでしょう。


リフォームをまったくしない場合でも、税金や引っ越し費用を考慮すると60万円程度見ておくと安心です。


【親のマンションに住む場合の費用】

リフォームありの初期費用:400万円程度

リフォームなしの初期費用:100万円程度


【費用内訳】

管理費・修繕積立金

月2万〜5万円程度

固定資産税・都市計画税

それぞれ年数万〜20万円程度

リフォーム・修繕費

水廻りすべて交換:300万円程度

壁紙:30万円程度

床の張り替え:80万円程度~

引っ越し費用

5万〜20万円程度


4-1-2.メリット・デメリット

次に、親のマンションに住む場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。


【メリット】

  • 家賃や住宅ローンの支払いを抑えられる

  • 住み慣れた・思い入れのある家を手放さずに済む


【デメリット】

  • 現在の住まいと2拠点になる場合、管理の手間と維持費が二重にかかる

  • リフォームや修繕が必要になる場合がある

  • 立地や間取りが現在の生活に合わない可能性がある

  • 管理費・修繕積立金などの負担は継続する


そのため、以下のような人に向いている選択肢です。


【向いている人】

住宅費をできるだけ抑えたく、親のマンションの立地や条件に満足できる人


4-2.売る:すぐに現金化できる

親のマンションを相続したのち、売る選択肢があります。


具体的に、下記に解説していきます。


  • 費用

  • メリット・デメリット


4-2-1.費用

マンションがいくらで売れるか、修繕やクリーニングの程度などによってかかる費用は異なりますが、費用目安は売却価格の5〜10%程度見ておきましょう。


下記は、一般的なよくあるケースを踏まえて、売却時の費用を試算したものです。


項目

概要

仲介手数料

不動産会社に支払う費用

売却価格の約3%+6万円+消費税

売却価格4,000万円なら140万円

譲渡所得税

売却によって利益が出た場合にかかる税金

ただし控除制度があり、諸費用を引いて3,000万円を超えた場合。

かからない場合が多い

抵当権抹消費用

ローンが残っていた場合の担保抹消手続き費用

司法書士への依頼が一般的で諸費用含め3.5万円程度

印紙税

売買契約書に貼る印紙代

1万円程度

ハウスクリーニング費用

売却前に室内を整えるための費用

3LDKで6万円~

修繕費

売却前に破損箇所などを直すための費用

数万円~

合計

売却価格4,000万円なら200万円弱

抵当権:借り入れにおいて、金融機関が債務者に対して不動産を担保とする権利


4-2-2.メリット・デメリット

親のマンションを売る場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。


【メリット】

  • まとまった現金を得られる

  • 管理費・修繕積立金・固定資産税などの負担がなくなる

  • 空き家の管理やトラブルの心配がなくなる


【デメリット】

  • 一度売却すると資産として手元に残らない

  • 市場状況によっては希望価格で売れない可能性がある

  • 売却までに時間がかかることがある(一般的に3〜6か月程度)


そのため、以下のような人に向いている選択肢です。


【向いている人】

  • 手間をかけたくなく、将来的に利用する予定がない親のマンションをすぐに現金化したい人


売却はシンプルでわかりやすい方法ですが、一度手放すと元に戻せないという特徴があります。

そのため、すぐに現金化する必要がない場合は、次に解説する賃貸として活用する選択肢と比較したうえで判断してみましょう。


実家を売却する方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご確認ください。

「実家を処分する選択肢5つと売却する時の全手順を解説」

4-3.貸す:資産を手元に残したまま家賃収入を得られる

親のマンションは、売却せずに賃貸として活用する選択肢もあります。


すぐに現金化する必要がない場合は、資産を手元に残したまま家賃収入を得られるため、柔軟な選択肢といえるでしょう。


実際に、かかる費用やメリットデメリットをみていきましょう。


4-3-1.費用

以下はあくまで1例ですが、一般的な形で、多くの方に当てはまる条件をもとに算出した費用ですので、参考にしてください。


下記の試算によると、


  • 初年度:数百万円以上

  • 翌年度以降:年間数十万円


の費用がかかることがわかりました。


【3LDKのマンションを15万円で貸す場合】

項目

概要

仲介手数料

入居者が決まった際に発生する費用

家賃の1ヶ月分程度:15万円

管理委託手数料

管理会社に支払う月額費用

家賃5%程度:7,500円

原状回費用

入居者が退去したときに室内を整えるための費用

十数万円~100万円程度(状況による)

例)

畳の交換:数十万円

壁紙:30万円程度

床の張り替え:80万円程度~

リフォーム費用

入居前に室内を整えるための費用

数十万〜数百万円程度(状況による)

例)

水廻りすべて交換:300万円程度

壁紙:30万円程度

床の張り替え:80万円程度~

広告費(AD)

入居者募集のための費用

家賃1〜2ヶ月分程度:15~30万円

火災保険料

建物・設備の損害に備える保険

年3万円程度

修繕費

貸す前に破損箇所などを直すための費用

数万円~

合計

  • 初年度:数百万円以上

    リフォームや広告費が重なるため。

  • 翌年度以降:年間数十万円~

    大きな初期費用が発生せず、管理委託手数料や修繕費などのランニングコストが中心となる。


4-3-2.メリット・デメリット

親のマンションを貸す場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。


【メリット】

  • 毎月の家賃収入が得られる

  • 管理費や修繕積立金などの維持費をカバーできる可能性がある

  • 将来、売却や自分で住むといった選択肢を残せる


【デメリット】

  • 空室になると収入が得られない

  • 入居者対応やトラブル対応が必要になる

  • 管理会社への手数料がかかる

  • 賃貸中は自分で使えない


そのため、以下のような人に向いている選択肢です。


【向いている人】

  • 親のマンションを手放したくなく、将来的な売却や再入居の選択肢を残しておきたい人


賃貸経営は「どの管理会社に任せるか」によって、収益や空室リスクが大きく変わります。


そのため、1社だけで判断するのではなく、複数の管理会社の提案を比較することが重要です。


【失敗しやすいポイント】

迷ったままマンションを放置して損失が膨らむ

活用方法をすぐに決められず、空き家のまま放置してしまうケースがありますが、これは避けたほうがよい選択です。


【空き家のまま放置してはいけない理由】

  • 判断を先延ばしにするほど支出がかさむ

    住んでいなくても管理費・修繕積立金・固定資産税は発生し続けるため

  • 資産価値の低下を招くおそれがある

    換気や清掃をおこなわないと室内の劣化やカビの発生につながる

  • 希望価格での売却が難しくなるケースも

    不動産市場は時期によって価格が変動するため


活用方法に迷う場合は、まず売却査定と賃貸査定を並行して取得し、数字をもとに判断するのが現実的です。


査定は無料でおこなえるため、迷っている段階でも早めに動くことをおすすめします。


5.親のマンションの相続STEP(4)正式に誰が継ぐかを決める


マンションの資産価値を確認できたところで、遺産分割協議をおこない、正式に誰が継ぐかを決めましょう。


遺産分割協議:相続人同士で話し合いをおこない、どの財産を誰が引き継ぐかを決める手続き


相続人の間でのトラブルを防止し、誰がマンションを取得するのかを明確に決めるためにも遺産分割協議は必須です。


マンションだけでなく、預金やその他の財産も含めて全体のバランスを見ながら分け方を決めて、遺産分割協議書を作成していきます。


遺産分割協議書:遺産分割協議の成立内容を記載した書類。作成しないと、不動産の名義変更や預金の解約などの手続きを進められない


費用はかかりますが、作成ミスによる手続きの遅延や期限超過を避けるためにも、遺産分割協議書は専門家への依頼が適しています。


依頼先は基本的に司法書士ですが、相続人間に争いがある場合は対応できないため、弁護士へ依頼しましょう。


依頼先

費用

【一般的】

司法書士

遺産分割協議書の作成:1~5万円程度

【揉めている場合】

弁護士

費用:着手金+報酬料+実費

着手金:20~30万円

報酬料目安:4,000万円の不動産を手に入れられたら400万円弱

実費:数万円


【失敗しやすいポイント】

遺産分割協議で兄弟間が揉めると長期化する

遺産分割協議でとくに多いのが、兄弟間での意見の食い違いによるトラブルです。


協議が長期化し、その間も維持費だけが発生し続けます。


感情的な対立に発展すると、最終的に家庭裁判所での調停や審判に持ち込まれるケースもあり、解決までにさらに時間と費用がかかることになります。


【長期化しないためのポイント】

協議の前に「3.親のマンションの相続STEP(2)マンションの資産価値を確認する」で算出した客観的な数字を共有し、遺留分の割合も考慮しながら公平に話し合いを進めることが重要です。


意見がまとまらない場合は、早めに弁護士や調停制度の利用を検討しましょう。


6.親のマンションの相続STEP(5)相続の手続きをする



親のマンションを相続することが決まったら、「相続する人」が手続きをしていきます。


マンションの活用方法(住む・売る・貸す)にかかわらず、基本となる手続きは共通で、相続人が次の2つをおこないます。


  • 相続税の申告と支払いをする

  • 相続登記をおこなう


順番に解説していきます。


6-1.相続税の申告と支払いをする

相続したマンションに対して相続税が発生する場合は、申告と納付をおこなう必要があります。


相続税の申告は算出方法が複雑になりやすく、状況に応じた控除の適用可否の判断も含め、税理士へ依頼するのが一般的です。


依頼先

費用

税理士

遺産総額の0.5%~1.0%

4,000万円のマンションなら20~40万円程度


申告書の作成から提出まで対応してくれ、相続人は内容を確認し、案内に従って納付をおこなうだけで済みます。


相続税の申告期限「約10ヶ月以内」の期限を過ぎると、延滞税や加算税が発生する可能性があります。


加えて相続税がかからない場合もあるため、まずは税理士に相談し、相続税の有無を確認したうえで依頼するとよいでしょう。


【税理士の探し方一例】

◆おすすめ

一括査定サイトを利用して複数の税理士にまとめて机上査定を依頼し、絞り込んだうえで訪問査定する



◆その他

  • インターネットで「税理士 地域名」などのキーワードで調べる

  • 地元の税理士に相談する

  • 知人や専門家から紹介を受ける


6-2.相続登記をおこなう

相続したマンションは名義変更となる相続登記をおこなう必要があります。


被相続人(親)名義のままでは、自分が所有者であることを証明できず、売却や各種手続きを進めることができません。


相続を知った日から3年以内に相続登記しよう

相続登記は、相続を知った日から3年以内におこなうことが義務化されており、すべての書類が手元にあれば1~2週間程度でおわります。


正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料が科される可能性があるため、早めに手続きを進めましょう。


相続登記は、下記のような理由から司法書士へ依頼するのが一般的です。


【司法書士へ依頼すべき理由】

  • 相続人が複数の場合、1年近くかかる場合もある

  • 戸籍の収集や書類作成に手間がかかり、スムーズに進まない


司法書士は、以下の方法で探しましょう。


【司法書士の探し方一例】

〈おすすめ〉

  • 日本司法書士会連合会の「しほサーチ」を使う

  • インターネットで「相続 司法書士 地域名」などのキーワードで調べる

  • 知人や専門家から紹介を受ける


司法書士報酬は2〜15万円程度が目安となり、このほかにかかる費用は以下のとおりです。


必要書類

費用目安

相続登記の登録免許税

固定資産税評価額×0.4%

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

450円前後?(1通では足りないケースが多く、合計1万円近くになることも)

被相続人の住民票の除票

300円前後

相続人の戸籍謄本

450円前後

相続人の住民票

300円前後

固定資産税評価証明書

300円前後

※自治体によって差あり

相続人全員の印鑑証明書

300円前後

※一部


とくに費用がかかりやすいのは戸籍謄本や住民票などの取得です。


相続登記では被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める必要があるため、1通では済まず、結果として合計で1万円前後になるケースもあります。


司法書士から指示を仰ぎ、適切に書類を集めていきましょう。


【失敗しやすいポイント】

期限を過ぎて余計な費用が発生する

相続手続きを後回しにすると、下記の余計な費用や手続きが発生するリスクがあります。


◆相続税の申告を10ヶ月以内におこなわなかった場合

  • 無申告加算税:本来の納税額に対して15%〜

  • 延滞税:納付期限の翌日から日数に応じて2.8〜9.1%程度加算

◆相続登記を3年以内におこなわなかった場合

10万円以下の過料が科される可能性がある


◆登記を放置している間に相続人が亡くなった場合

権利関係がいっそう複雑になって手続きがより困難になるケースもあります。


納税額が大きいほど追加負担も大きくなるため、早めに税理士へ相談することが重要です。


7.親のマンションを相続するときにかかる費用目安


最後に、親のマンションを相続するときにかかる費用目安をまとめていきます。


【今回の実家処分の前提条件】

※相続人が非常に多い、膨大な価格のマンションを相続するなどなく、一般的な条件をもとに算出しています。


  • 固定資産税評価額:3,000万円

  • 売却価格:4,000万円


これらすべての費用を合計すると、約250~450万円かかります。


【全過程の合計】

費用目安

住む・売る・貸すの活用方法に応じて250~450万円程度


以下に詳細をまとめていきます。


【相続STEP(1)誰が継ぐことになっているかを確認する】

必要書類・手順項目

費用目安

遺言書の検認

収入印紙

800円

除籍謄本

遺言者が死亡した事実を証明する

750円

戸籍謄本

遺言者の相続人であることを証明する

450円

計

800~1200円程度


【STEP(2)マンションの資産価値を確認する】

必要書類・費用項目

費用目安

売却・賃貸で

資産価値を調べる際

0円

計

0円


【STEP(3)マンション相続後の活用方法を考える】

活用方法

費用目安

住む

リフォームありの初期費用:400万円程度

リフォームなしの初期費用:100万円程度

売る

売却価格4,000万円なら200万円弱

貸す

家賃15万円なら450万円程度


STEP(4)正式に誰が継ぐかを決める

依頼先

費用目安

司法書士

遺産分割協議書の作成:1~5万円程度


【STEP(5)相続の手続きをする】

・相続税の申告と支払いをする

依頼先

費用目安

税理士

遺産総額の0.5%~1.0%

計

4,000万円のマンションなら20~40万円程度


・相続登記をおこなう

必要書類・費用項目

費用目安

相続登記の登録免許税

固定資産税評価額×0.4%

固定資産税評価額3,000万円なら12万円

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

450円前後?(1通では足りないケースが多く、合計1万円近くになることも)

被相続人の住民票の除票

300円前後

相続人の戸籍謄本

450円前後

相続人の住民票

300円前後

固定資産税評価証明書

300円前後

※自治体によって差あり

相続人全員の印鑑証明書

300円前後

計

14万円程度


【全過程の合計】

費用目安

住む・売る・貸すの活用方法に応じて250~450万円程度


8.まとめ

親のマンションの相続の進め方についておわかりいただけましたでしょうか。


最後に、本記事の要点をまとめていきます。


◎親のマンションの相続は、以下の手順で進めます。


相続をするための流れ

概要

(1)誰が継ぐことになっているかを確認する

遺言書の有無や法定相続人を調べ、相続人の範囲を確定する

→確定しないと、以降の手続きがすべて進められない

(2)マンションの資産価値を確認する

マンションの評価額や維持費を調べる

→活用方法や相続の仕方を決めるための判断材料になる

(3)マンション相続後の活用方法を考える

住む・売る・貸すの選択肢から、自分に合った活用方法を検討する


→活用方針が決まっていないと遺産分割協議の方向性が定まらない

(4)正式に誰が継ぐかを決める

遺産分割協議をおこない、相続人全員で分け方を決定する


→相続人全員が合意し遺産分割協議書を作成すると相続が確定する

(5)相続の手続きをする

相続税の申告・納付や相続登記などの必要な手続きを進める


→誰が継ぐかが確定したので、相続税の申告・相続登記が進められる


◎親のマンションを相続するときにかかる費用目安は、以下の一般的な条件下では250~450万円見ておきましょう。


今回の実家処分の前提条件

※相続人が非常に多い、膨大な価格のマンションを相続するなどなく、一般的な条件をもとに算出しています。


  • 固定資産税評価額:3,000万円

  • 売却価格:4,000万円


あなたが複雑な相続を早く、最適な活用方法で進められることを願っています。

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Author

河上 隼人

河上 隼人 HAYATO KAWAKAMI

株式会社エイムプレイス 代表取締役

1980年11月8日生まれ 広島県出身

インターネットメディア事業「いざ貸す」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。

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