定期借家とは期間限定の賃貸借契約!借主・貸主視点で特徴を解説
「定期借家契約ってよく聞くけど、結局自分にとってメリットはあるの?」
お部屋探しをしている人でも、大切な家を契約期間を区切って貸したいオーナーでも、「定期借家契約がどのような契約なのか正確に知りたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。
定期借家とは、あらかじめ定めた期間が満了した時点で契約が確定的に終了し、更新が行われない賃貸借契約のことです。

借りる側からすると、契約期間の制約がある代わりに、普通借家では出てこないような好条件の物件が見つかる可能性があります。一方、貸す側からすれば、明け渡しの時期や入居者の質をオーナー側でコントロールできる契約方法と言えます。
この記事では、定期借家とはどのような制度なのかという基礎知識から、借りる側・貸す側それぞれの視点でまとめた特徴、そして「定期借家が向いているケース」まで踏み込んで解説していきます。
この記事を読み終える頃には、「借りたい人」「貸したい人」双方にとって、自分が定期借家契約を前向きに進めるべきかを判断できるはずです。ぜひ最後までお読みください。
1.定期借家契約とは

定期借家契約とは、契約期間があらかじめ定められており、期間が満了すると契約が終了する(更新されない)賃貸借契約のことをいいます。
【普通借家契約と定期借家契約の主な違い】
通常の普通借家契約 | 正当な理由がない限り、契約が更新される仕組み |
定期借家契約 | あらかじめ決めた期間が来れば契約は確定的に終了する(更新はない) ※合意の上「再契約」することはできるが、再契約できる確証はない |
たとえば「契約期間が2年」の定期借家契約の場合、2年の期間が満了した時点で契約が終わるため、入居者は退去しなければなりません。ただし、貸主と借主が合意すれば、あらためて「再契約」することは可能です。
定期借家契約の主な特徴
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さらに詳しい定期借家契約の特徴はあらためて「3.定期借家契約の特徴6つ【借りる側・貸す側の両方の視点で解説】」で解説します。
2.定期借家制度の利用率は2.1%(令和6年度)だが増えつつある

定期借家契約が「契約期間に縛りのある契約」と分かったところで、どの程度この制度が使われているかを確認していきましょう。
実は、日本の賃貸市場において、定期借家契約が選択される割合はかなり低い水準にとどまります。
国土交通省の住宅市場動向調査(令和6年度)の報告書によれば、民間賃貸住宅に住み替えた世帯のうち、賃貸契約の種類で「定期借家制度」を利用した割合は、わずか2.1%という結果になっています。

※参考:国土交通省 住宅局「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」P280を参考に当社で作成
一般的には、賃貸借契約では、更新が可能な普通借家契約で行われることが多く、全国的な視点では「定期借家」は非常に稀な契約形態といえます。
このように定期借家契約はかなりレアな契約方法であり、オーナーが「将来的に物件を取り戻したい意思がある場合」や「売却のタイミングのコントロールをしたい」など明確な目的を持っている場合に選択される契約ということは覚えておきましょう。
ただし都心部では定期借家の物件が増えつつある 全国的には利用率が低い定期借家制度ですが、LIFULL HOME'Sの調査によれば、首都圏(特に東京都エリア)での定期借家物件の掲載数は増えている傾向があるようです。 2025年の定期借家の掲載割合は首都圏で8.7%で、東京都は9.3%に達しています。特に都心部の分譲マンションや高額物件などでは、1割弱の割合で定期借家契約が採用されている現状があります。 背景には、「転勤の間だけマイホームを貸したい」といった短期賃貸の需要や、「将来の市況を見て売却も柔軟に検討したい」というオーナーの戦略的な意図があると考えられます。 |
3.定期借家契約の特徴6つ【借りる側・貸す側の両方の視点で解説】

定期借家契約の概要や現状について解説したところで、ここからはさらに具体的に「定期借家契約とはどんな特徴を持ったものなのか」を解説していきます。
定期借家契約は、一般的な賃貸借契約(普通借家契約)とは異なる性質を持った契約方法です。オーナーにとっては「資産を守るための強力な武器」になりますが、入居者にとっては「住まいに関する制約」となります。
本章では、以下の6つのポイントを軸に、それぞれの特徴が両者にどのような影響を与えるのかを整理していきます。
【定期借家契約の特徴6つ】
特徴 | 借りる側・貸す側の視点 |
契約期間満了で確定的に契約が終わる(更新はない) | 【借主】契約期間終了で退去しなければならない 【貸主】決まった期間だけ貸したい場合に活用しやすい |
契約終了後に住み続ける場合は「再契約」が必要となる | 【借主】再契約できなければ退去するしかない 【貸主】確定的に入居者を退去させて取り戻すことが可能 |
1年未満の契約が可能(数カ月・半年など) | 【借主】期間限定の仮住まいとして利用しやすい 【貸主】1年未満の短い期間だけでも貸し出せる |
オーナーからの中途解約は原則として認められない | 【借主】期間内であれば退去を迫られる心配がない 【貸主】事情が変わっても中途解約は難しい |
賃借人(入居者)からの中途解約は「中途解約条項」があればできる | 【借主】条項がないケースもあるため注意 【貸主】特約の工夫で早期退去リスクをヘッジできる |
通常より家賃が低く設定されることが多い | 【借主】相場より安く優良物件に住める可能性がある 【貸主】普通借家契約で貸し出すよりも収益は下がる |
定期借家契約は、借りる側(入居者)の視点で見るか、貸す側(オーナー)の視点で見るかによって、メリット・デメリットが表裏一体となっています。
オーナーであれば「どうリスクを管理するか」、入居者であれば「どう妥協点を見出すか」を具体的にイメージしながら読み進めてみてください。
3-1.特徴1:契約期間満了で確定的に契約が終わる(更新はない)
定期借家契約の最大の特徴は、あらかじめ定められた契約期間が経過した時点で、更新されることなく確定的に契約が終了することです。
通常の賃貸借契約(普通借家契約)では借主が希望すれば原則として更新できますが、定期借家では「更新」という概念そのものが存在せず、確定的に契約が終わります。
契約終了後も入居者が住み続けたい場合には、オーナーが合意すれば「再契約」することができます。再契約はあくまで「新しい契約を締結する」という形であり、更新ではありません。
借りる側(入居者)の視点
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貸す側(オーナー)の視点
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合意による「再契約」という可能性もゼロではありませんが、「契約期間だけ住む」のが大原則となります。
3-2.特徴2:契約終了後に住み続ける場合は「再契約」が必要となる
定期借家契約において、期間満了後も入居者が住み続ける場合には、新しい契約をゼロから結び直す「再契約」の手続きが必要となります。
通常の賃貸借契約(普通借家契約)では、借主が希望すれば原則として「これまでと同じ条件」で更新できますが、定期借家契約ではオーナー側に「再契約を拒否する権利」があります。
また、再契約のタイミングでオーナー側から賃料の値上げなどの新条件を提示し、入居者が合意しなければ契約終了となるため、実質的に賃料改定の主導権がオーナー側にあります。
借りる側(入居者)の視点
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貸す側(オーナー)の視点
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通常の賃貸借契約(普通借家契約)の「更新」と違って、「再契約」は全く新しい契約を結ぶというイメージなので、家賃や契約内容の変更がされやすい(しやすい)のが大きな特徴となります。
3-3.特徴3:1年未満の契約が可能(数カ月・半年など)
定期借家契約では、数カ月・半年など、1年未満の短い期間であっても、法的に有効な契約として設定が可能です。
通常の賃貸借契約(普通借家契約)では、契約期間を1年未満とすることはできません。一方、定期借家契約にはこの制限がないため、3カ月や6カ月といった短い期間でも設定が可能で、短い期間限定で貸し出したい際などに有効に活用できます。
借りる側(入居者)の視点
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貸す側(オーナー)の視点
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借主・貸主のタイミングが合えば、無駄のない契約を実現できます。
3-4.特徴4:オーナーからの中途解約は原則として認められない
定期借家契約では、オーナー(貸主)の事情が変わったとしても、契約期間内は貸主から契約を中途解約することはできません。
通常の賃貸借契約(普通借家契約)の場合と同様に、定期借家契約でも「転勤期間が3年の予定から2年に短縮したから、早めに返してほしい」などの理由で一方的な解約はできないことになっています。
ただし、借主(入居者)と話し合いを行い、立ち退き料の支払いや引越し先の紹介などを条件に、双方が納得すれば契約を終了させることは可能です(合意解除)。
借りる側(入居者)の視点
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貸す側(オーナー)の視点
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定期借家契約の作りとしては、「原則として契約期間のあいだは入居者が住む」という作りになっていると理解しましょう。
3-5.特徴5:賃借人(入居者)からの中途解約は「中途解約条項」があればできる
定期借家契約における借主(入居者)側からの中途解約は、「中途解約条項」の有無によって異なります。
通常の賃貸借契約(普通借家契約)では、ほとんどの場合で「中途解約条項」が定められており、1カ月〜2カ月前までに通知すれば解約できるのが一般的です。
定期借家契約(とくに転勤の間だけなどの短期契約の場合)ではこの条項が記載されていないケースもあり、条項がなければ期間終了まで解約できないのが原則です。
※ただし、床面積200平方メートル未満の住居では、入居者側に転勤や介護などのやむを得ない事情がある場合に限り、法律によって中途解約が認められています。
借りる側(入居者)の視点
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貸す側(オーナー)の視点
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後ほど借りる側・貸す側のそれぞれに向けて注意点を詳しく解説しますが、契約書の内容をしっかり確認することが、両者ともに後悔を防ぐために重要です。
3-6.特徴6:通常より家賃が低く設定されることが多い
定期借家契約は、入居者にとって「住める期間が限定されている」という制約があるため、家賃が周辺の相場より安く設定されるケースがあります。
同じ条件の物件であれば更新できる普通借家契約の家のほうが選ばれやすいからです。
借りる側(入居者)の視点
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貸す側(オーナー)の視点
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借りる側からすると、住める期間が限られているからこそ、掘り出し物に出会える可能性もあります。
次章からは、定期借家契約が向いているケースについて、借りたい人向け・貸したい人向けに分けて解説していきます。先に4章では「借りたい人向け(入居者向け)」に解説するので、貸す側(オーナー)のかたは「5.【貸したい人向け】定期借家契約が向いているケース」からご覧ください。
4.【借りたい人向け】定期借家契約が向いているケース

定期借家契約の特徴を踏まえて、ここからは「借りたい物件がたまたま定期借家だった」という方に向けて、契約を前向きに検討しても良い(向いている)ケースをご紹介します。
「期間満了で終了する」「更新がない」というルールを考えると、住まいの安定を重視する方にとって、積極的に定期借家を選びたいケースはそう多くないのが実情です。
しかし、定期借家物件を最初から選択肢から外してしまうと、実は「良い物件」を見逃してしまう可能性があります。時として、「期間の制約」というデメリットを補って余りある、魅力的な掘り出し物が見つかることもあるからです。
【借りたい人向け】定期借家契約が向いているケース
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普通借家物件では出回らないような好条件の物件に出会える可能性があることは、定期借家ならではの魅力ともいえます。デメリットを理解した上で、それを上回る理想的な物件を見つけた際には、ぜひ本章の内容を参考にしてみてください。
4-1.契約期間の限定を受け入れられる場合
定期借家契約が向いているケースはずばり、「契約期間が限定されている」という条件を受け入れられる場合に尽きます。
積極的に「定期借家がいい」というケースはほとんどなく、「お部屋探しをしていて気になる物件があったけど定期借家だった!」というケースが多いはずです。
前述したように定期借家契約は、原則として契約期間のあいだしか住めず、再契約もできない可能性が高いといえます。そのため、「それでもこの家に住みたい」という限定されたケースのみ、定期借家が向いています。
契約期間の限定を受け入れられるケース例
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「ずっと住み続けること」にこだわらず、決まった期間を最高の環境で過ごすという割り切りができれば、定期借家は理想の暮らしを叶える強力な選択肢になります。
4-2.良質な掘り出し物の物件に住みたい場合
4-1で書いたように「契約期間の限定を受け入れられること」が前提ではあるものの、「掘り出し物」といえるような良質な物件に住みたい場合には、定期借家を選択肢と検討する意義があります。
とくに人気エリアやハイグレードな物件ほど、オーナーがあえて「定期借家」として貸し出しているケースがあるからです。
2章の終わりで解説したように、都心部の分譲マンションや高額物件などでは、1割弱の割合で定期借家契約が採用されている現状があります。
検索条件から定期借家を除外してしまうと、好立地にある優良物件を見逃してしまうことになるかもしれません。
定期借家で狙える「質の高い」物件の例
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ポータルサイトの検索条件で「定期借家を除く」のチェックを外すだけで、ライバルが見落としている良質な物件が視界に入ってくる可能性があります。
質が高い理想の住まいに、できるだけリーズナブルに住みたい方は、定期借家を選択肢に加えてみるのも有効です。
5.【貸したい人向け】定期借家契約が向いているケース

前章では借りたい人(入居者側)向けの「定期借家が向いているケース」を紹介しましたが、ここからは反対に「貸す側(オーナー)」に解説していきます。
ここまで見てきたように、定期借家の制度は、契約期間満了で確定的に契約が終了するため、オーナーにとってメリットが大きい契約方法といえます。
本章では、定期借家契約がとくに向いている3つのケースを紹介していきます。
【貸したい人向け】定期借家契約が向いているケース
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大切な持ち家の返還時期や入居者の質をコントロールできるという点で、定期借家契約はオーナーにとって利点が大きな制度です。
「自分の場合はどのように活用できるだろうか?」と考えながら、読み進めてみてください。
5-1.将来的に家を取り戻したい場合
ここからは、家を貸す側(オーナー側)の立場から、定期借家が向いているケースを紹介します。
「家を空ける期間だけ貸したい」「ゆくゆくは子どもに住んでもらいたい」「貸した後、良いタイミングで売却したい」など、将来的には家を取り戻したい場合には、定期借家が向いています。
繰り返しになりますが、通常の賃貸借契約(普通借家契約)では、入居者が希望する限りオーナー都合で退去してもらうのが非常に困難になるからです。
将来的に家を取り戻したいケースの例
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このような事情がある場合、契約期間満了時に確定的に退去してもらえる定期借家契約が有効です。
5-2.入居者トラブルのリスクを最小限にしたい場合
「マナーの悪い入居者にずっと貸し続けなければならないのが嫌だ」「トラブルメーカーは退去させられる状況が理想」というオーナーにとって、定期借家契約は確実なセーフティーネットになります。
普通借家契約の場合、トラブルを起こす入居者がいても退去させるのは簡単ではありません。定期借家契約であれば、契約期間が終了すれば確定的に退去してもらえます。マナーの良い入居者の場合のみ再契約をする、という運用も可能です。
入居者トラブルのリスクを最小限にする活用例
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定期借家契約は「再契約するかどうか」の主導権がオーナー側にあるため、その仕組みをリスクヘッジとして賢く活用することで、入居者トラブルの悩みを軽減できます。
5-3.建物の老朽化による取り壊しを予定している場合
老朽化した建物を取り壊して新しく建て直そうとしている場合にも、定期借家契約が向いています。
老朽化による取り壊しは、普通借家契約で退去してもらうための「正当事由」として認められやすいものの、実際の交渉が難航したり入居者が居座ったりするリスクはゼロではありません。話し合いが長期化すると取り壊しが大幅に遅れ、賃貸経営の収支を圧迫することになりかねません。
定期借家契約であれば、こうした交渉が必要なく、あらかじめ定めた期日で確定的に契約を終了させることができます。
建物を取り壊す際の具体的な活用例
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上記のような貸しにくい状態の場合、貸し控えをするケースが大半です。定期借家であれば貸し控えによる損失を防いで、決まった期間だけ収益化することが可能です。
6.【借りたい人向け】定期借家物件で後悔しないためのポイント2つ

前章の「定期借家物件が向いているケース」を読んで、「自分の場合は定期借家もアリかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。
しかしながら、定期借家物件はやはり「更新がない」「契約満了で原則退去しなければならない」など制約の多い契約であることに変わりはありません。
入居後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、契約前に必ずチェックすべき具体的な注意点を詳しく解説していきます。
【借りたい人向け】定期借家物件で後悔しないためのポイント
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「定期借家にしなければよかった」とならないよう、自分を守るためのチェックリストを作るような気持ちで読み進めてみてください。
6-1.再契約の可能性がどの程度あるか確認しておく
定期借家物件を借りる場合には、「再契約できるかどうか」で長く住めそうかどうかが変わってくるため、再契約の可能性がどの程度あるのかを確認しておくと安心です。
同じ定期借家物件でも、目的が「将来的にオーナーが戻るため」なのか、それとも「入居者トラブルを予防するため」なのかによって、再契約の可能性は大きく変わってきます。
オーナーが定期借家を選んだ目的による再契約の見込み (1)戻る予定があるケース(再契約の可能性:限りなく低い): オーナーの転勤や一時的な住み替えによる貸し出しです。この場合、期間満了は「オーナーの帰宅」を意味するため、借主がどんなに優良であっても再契約の余地はほとんどないといえます。 (2)入居者をチェックしたいケース(再契約の可能性:少しあり): オーナーが「優良な入居者のみ再契約したい」という場合に定期借家を選ぶケースで、近年この「再契約型」の定期借家物件が増えています。トラブルなく暮らしていれば再契約してもらえる可能性があります。 ただし「再契約型」の場合も、再契約してもらえる確証はないため、あくまで「(1)よりは可能性が高い」というだけである点に注意しましょう。 |
定期借家の理由を事前に聞いておくことで、再契約の可能性がほとんど無いのか、または多少ありえるのかを知っておくと良いでしょう。
6-2.契約書の内容(特約)を漏れなく確認する
契約後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐために、契約書の内容(とくに「特約」に盛り込まれた事項)に問題が無いか隅々まで確認することが重要です。
定期借家は普通借家に比べて契約の自由度が高く、本来であれば法律で守られている借主の権利が、特約一つで制限されてしまうケースが多々あるからです。
契約書の内容を確認するときのポイント
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重要事項説明の場でも上記事項をしっかり確認して、納得した上で契約するようにしましょう。
7.【貸したい人向け】定期借家物件で後悔しないためのポイント3つ

ここからは、貸したい人(オーナー側)の立場から、後悔を防ぐために押さえておくべきポイントを解説していきます。
実務的な内容となりますが、事前に知っておかなければ「入居者が退去してくれない」など重篤なリスクにつながりかねない重要な内容となります。
【貸したい人向け】定期借家物件で後悔しないためのポイント
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「せっかく定期借家にしたのに、普通借家として扱われて退去してもらえない」という最悪のシナリオを回避するために、一つひとつの内容を理解することが大切です。
7-1.定期借家と認められるための要件をきっちり満たす
最初のポイントは、きちんと「定期借家契約と見なされる要件を満たす」ということです。最も避けたいのは、オーナーは定期借家のつもりだったのに、「普通借家契約(自動更新可能)」とみなされてしまうことです。
実は、定期借家契約が成立するためには厳格な要件があります。たとえオーナーと借主(入居者)双方が契約時点で「期間限定」と認識していたとしても、不備があれば後々「この契約は定期借家ではなく普通借家なので退去しません」と言われかねないので注意が必要です。
普通借家契約ではなく「定期借家契約が成立した」と認められるためには、以下の4点が必要です。
定期借家契約が成立する要件 (1)契約期間の定めがあること(始期と終期が定められていること) (2)契約の更新がないことが定められていること(契約書に更新がない旨の条項を入れておく) (3)書面で契約を締結すること(公正証書でなくてもかまいません) (4)賃貸人(または代理人)が賃借人に対して「契約の更新がないこと」を独立した書面で説明すること |
とくに4番目の「契約の更新がないことの書面による事前説明」は重要です。説明を受けたことの確認として、借主(入居者)から署名・押印をもらっておくようにしましょう。
また、定期借家契約なのに「更新料の支払い」や「何もしなければ自動更新する」といった条項が残っていると、たとえ「更新しない条項」が他にあっても、定期借家としての成立が認められないことがありますので注意しましょう。
定期借家契約を間違いなく成立させるためには、定期借家契約に慣れている不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。
7-2.期間満了の1年前から6カ月前までの間に忘れずに終了通知を送る
無事に定期借家契約を締結した後、契約終了時に物件を確実に返還してもらうためには、法律で定められた期間内(期間満了の1年前から6カ月前までの間)に「終了通知」を必ず送らなければなりません。
契約期間が1年以上の定期借家契約の場合、この終了通知を忘れてしまうと、借主(入居者)に対して期間満了時の明け渡しを求めることができなくなるからです。
「言った言わない」などのトラブルを防ぐため、終了通知は記録が残る「内容証明郵便」などを活用するのが良いでしょう。
もっとも、もし終了通知を忘れてしまっても、改めて通知を出せばその6カ月後には定期借家契約を終了させることは可能です。ただし、予定していた時期に物件を使用できなくなったり、次の入居者との契約に支障が出たりと、オーナーにとって多大な不利益が生じます。
終了通知を忘れないようカレンダーに登録して、漏れがないようスケジュール管理を徹底しましょう。
7-3.定期借家契約の経験が豊富な管理会社に依頼する
家を貸したいオーナーが定期借家契約を選ぶ際には、定期借家特有の実務に精通した管理会社をパートナーに選ぶことが非常に重要です。
前述したように定期借家は手続きの厳格さが求められるため、経験・ノウハウが少ない不動産会社に依頼してしまうと、不備やミスを防ぎきれない可能性があるからです。
万が一、契約書の不備が見つかって「定期借家契約の要件を満たしていなかった」となれば、最悪の場合、入居者が退去してくれないという事態になりかねません。
定期借家契約の仕組みを深く理解し、万全のサポート体制を整えているプロに実務を任せることが、オーナーが定期借家で後悔しないために大切です。
8.まとめ
本記事では「定期借家」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆定期借家契約とは
契約期間満了で確定的に契約が終わる(更新はない)契約のこと
利用率は2.1%(令和6年度)だが増えつつある
◆定期借家契約の特徴8つ
特徴1:契約期間満了で確定的に契約が終わる(更新はない)
特徴2:契約終了後に住み続ける場合は「再契約」が必要となる
特徴3:1年未満の契約が可能(数カ月・半年など)
特徴4:オーナーからの中途解約は原則として認められない
特徴5:賃借人(入居者)からの中途解約は「中途解約条項」があればできる
特徴6:通常より家賃が低く設定されることが多い
◆【借りたい人向け】定期借家契約が向いているケース
契約期間の限定を受け入れられる場合
良質な掘り出し物の物件に住みたい場合
◆【貸したい人向け】定期借家契約が向いているケース
将来的に家を取り戻したい場合
入居者トラブルのリスクを最小限にしたい場合
建物の老朽化による取り壊しを予定している場合
◆【借りたい人向け】定期借家物件で後悔しないためのポイント2つ
再契約の可能性がどの程度あるか確認しておく
契約書の内容(特約)を漏れなく確認する
◆【貸したい人向け】定期借家物件で後悔しないためのポイント2つ
定期借家と認められるための要件をきっちり満たす
期間満了の1年前から6カ月前までの間に忘れずに終了通知を送る
定期借家契約の経験が豊富な管理会社に依頼する
定期借家の制度を熟知した不動産会社に仲介・管理を依頼することが、定期借家で損せずに賃貸をスタートするために不可欠です。ぜひ「いざ貸す」を活用して、最適なパートナーを見つけてください。
Author
河上 隼人 HAYATO KAWAKAMI
株式会社エイムプレイス 代表取締役
1980年11月8日生まれ 広島県出身
インターネットメディア事業「いざ貸す」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。
