住宅ローン借入中の転勤で取りうる4つの選択肢と後悔しない判断基準
「住宅ローンがまだ残っている状態で転勤を命じらられた場合、どうすればいいの?」
「単身赴任か家族帯同かで、住宅ローンの扱いが変わってきたりする?」
「住宅ローン控除で年間20万円節税できているけど、控除は転勤中も維持できる?」
急な転勤を命じられて、まだ残っている住宅ローンをどうすればいいのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、住宅ローン返済中の転勤の場合に取りうる選択肢は4つあり、それぞれ「住宅ローンの低金利を継続できるか」「控除(節税)を維持できるか」が違ってきます。

さらに、後悔のない決断をするためには、他にも「控除が残っているか」や「売却や賃貸の可能性があるのか?」など、考慮すべきことがいくつかあります。
この記事では、4つの取りうる選択肢や、それ以外の検討項目、そしてどうしても決められない人向けの判断フローチャートを用意して、ベストな決断ができるようサポートしていきます。

この記事を読み終える頃には、手続きや相談先も含めて、後悔しないために必要な情報が頭に入り、複数の側面から「自分がどうすべきか」をしっかり判断できるはずです。ぜひ最後までお読みください。
1.住宅ローン借入中の転勤で取り得る選択肢は4つ

まずは、転勤が決まった際にもっとも頭を悩ませる「住宅ローン返済中のマイホームをどうするか?」について、4つの選択肢を比較しながら見ていきましょう。
取りうる選択肢としては、単身赴任(家族は残る)、家族帯同で空き家にする、賃貸(空いている家を貸す)、売却してしまう、の4つです。
【住宅ローン借入中の転勤で取り得る4つの選択肢】
選択肢 | 住宅ローン 継続 | 住宅ローン控除 継続 | 総評 |
単身赴任で家族は残る | 〇 | 〇 | 家族が残るので、低金利・好条件の住宅ローンも、住宅ローン控除も継続できる |
家族帯同で空き家にする | △〜〇 (※) | × | 住宅ローンは維持できるケースが多いが、控除は空き家になるため受けられない(帰任後の再開は可能) |
賃貸する | ×〜△ (※) | × | 金利の高いローンへの借り換えが基本となり、控除は当然停止する |
売却する | × | × | 住宅ローンを一括返済するため、住宅ローン控除もなくなる |
※住宅ローンを継続できるかは、金融機関によって判断が異なります。かならず金融機関に相談しましょう。
どの選択肢を取るかによって、「好条件の住宅ローンを維持できるか」と、「住宅ローン控除を引き続き適用できるのか」が変わってきます。
まずは4つの選択肢ごとに住宅ローンや控除の扱いがどうなるかをしっかりと確認していきましょう。
※家族が残る場合に住宅ローンを継続できるのは「生計を一にする家族(お財布が一緒の家族)のみ」です。 生計が別の親族に住んでもらう場合には住宅ローン対象外になるので注意しましょう。 |
1-1.【単身赴任】家族は残って本人だけ引っ越しをする
住宅ローン借入中の転勤が決まったときにまず考えたいのが、単身赴任を選択して家族がそのまま自宅に残るという選択肢です。
この選択肢の場合、本人は引っ越しても家族が自宅に住み続けるため、「住宅ローン契約」も「住宅ローン控除」もそのまま継続できます。
【住宅ローン・住宅ローン控除の取扱い】
項目 | 可否 | 詳細 |
住宅ローンを継続できるか | 〇 | 転勤というやむを得ない理由で、家族が残り、転勤が終わったら戻る予定ならば継続できる可能性が高い |
住宅ローン控除の適用を続けられるか | 〇 | 転勤というやむを得ない理由で単身赴任になるが戻る意思がある場合で、家族が残るなら継続できる |
単身赴任(家族が残る)を選択するメリット
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単身赴任(家族が残る)を選択するデメリット
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この選択肢を選ぶ場合の住宅ローン絡みの手続きは、ローン返済している金融機関に「住所変更届」を出す程度で済みます。
単身赴任(家族が残る)を選択する場合の手続き 金融機関への連絡: 転勤で自分だけ住民票を移すが家族は残ることを連絡し、 「住所変更届」を出しておきましょう。銀行からの重要書類が確実に届くようにすることでトラブルを防げます。 税務署への手続き: とくになし。 市区町村役場への手続き: 転勤する本人の転出届を提出して、住民票を異動させます。家族が残るため、世帯主の変更が必要になる場合があります。 |
単身赴任は、「住宅ローンや控除をそのまま続けたい」という面を重視する場合に、もっともスムーズな選択肢と言えます。
1-2.【家族帯同】家族も一緒に引っ越して空き家にする
次は、転勤先に家族全員で引っ越し、住宅ローン借入中の家は空き家にするという選択肢です。
※独身の場合で、住宅ローン返済中の家を空き家にする場合もこのケースに該当します。
この選択肢の場合、事前に金融機関の承認を得ることで「住宅ローン契約」は継続できるケースが多い一方、「住宅ローン控除」は一時停止となる点に注意が必要です。
住宅ローン控除で年間数十万円の節税ができるケースが多いなか、控除がなくなるのは大きなデメリットといえるでしょう。
【住宅ローン・住宅ローン控除の取扱い】
項目 | 可否 | 詳細 |
住宅ローンを継続できるか | △〜〇 | 転勤というやむを得ない理由があり、将来戻る予定があれば継続できるケースが多いが、事前の相談が必須 |
住宅ローン控除の適用を続けられるか | × | 家族全員が転居して空き家になる場合は「住宅ローン控除」の適用外になってしまう(ただし、適切な手続きをすれば帰任後に再開できる可能性がある) |
家族全員で引っ越しを選択するメリット
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家族全員で引っ越しを選択するデメリット
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住宅ローンを継続できるかどうか金融機関に念のため承諾をとっておき、住宅ローン控除は転勤から戻った際に再開するための手続きをしておく必要があります。
家族全員で引っ越しを選択する場合の手続き 金融機関への連絡: 家族全員で転居する旨を事前に相談し、住宅ローン契約の継続について承認を得ておくと安心です。 税務署への手続き: 転出する日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出しましょう。これを出さずに転出すると、将来自宅に戻った際に住宅ローン控除を再開できなくなるので注意が必要です。(住宅ローン控除を再開できるのは、残存期間が残っている場合のみです。) 市区町村役場への手続き: 家族全員の転出届を提出します。あわせて、郵便物の転送手続きや、空き家となる自宅の固定資産税納税通知書の送り先変更なども検討するのが良いでしょう。 |
税制メリットを捨ててでも「家族一緒の安心感」を重視する方におすすめな選択肢といえるでしょう。
1-3.【賃貸】転勤の間だけ家を第三者に貸す
住宅ローンの返済を続けながら転勤先での暮らしも自宅も両方維持するというのは大変なケースがあります。その場合には「自宅を第三者に貸し出して、その家賃収入をローン返済に充てる」という選択肢があります。
ただし、家を貸し出す場合に住宅ローンを維持できるかどうかは金融機関によって判断が異なります。一般的なケースでは、住宅ローンではない投資用ローンへの借り換えを求められたり、条件を変更されたりする可能性が高いといえます。
ただし、フラット35のように「短期間の転勤の間だけなら賃貸しても良い」と受け入れてくれる住宅ローンもあります。まずは金融機関に相談して、「転勤の間だけ賃貸することが可能か?」「低金利を維持できるか?」の確認を取ることが必要です。
また、当然ながら、他人が住む場合には住宅ローン控除は適用外となります。住宅ローン残高に応じた税額控除はできなくなります。
【住宅ローン・住宅ローン控除の取扱い】
項目 | 可否 | 詳細 |
住宅ローンを継続できるか | ×〜△ | フラット35など一部の住宅ローンでは認められるが、民間銀行では「金利の高い投資用ローン」への借り換えを提案されるケースが多い |
住宅ローン控除の適用を続けられるか | × | 本人も家族も住まずに賃貸する場合には、住宅ローン控除の適用は認められない |
転勤の間だけ家を第三者に貸すメリット
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転勤の間だけ家を第三者に貸すデメリット
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銀行への無断賃貸は一括返済を求められる重大な規約違反となるため、まずは借入先のルール(フラット35のような特例があるか)を確認し、慎重に交渉する必要があります。
転勤の間だけ家を第三者に貸す場合の手続き 金融機関への連絡(かならず相談): 「転勤の間だけ貸したい」と相談して、住宅ローンがどうなるかを必ず確認しましょう。民間銀行では条件変更の審査が必要になるケースがほとんどです。 税務署への手続き: もし将来的に自宅に戻り、再び住宅ローン控除を受けたいと考えている場合は、転出前までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を税務署に提出しておく必要があります。 また、賃貸収入による不動産所得が発生する場合は確定申告が必要になります。 |
なお、転勤後に確実に家を取り戻すためには、通常の賃貸借契約ではなく「定期借家契約」という期間の定めのある契約方法を結ぶようにしましょう。
1-4.【売却】転勤を機に住宅ローンを完済して家を売却する
4番目の選択肢は、転勤を機に自宅を売却して、住宅ローンを全額返済して身軽になるという選択肢です。
売却代金(または手持ちの資金)で住宅ローン残債を完済して、住宅ローンはなくなるイメージです。完済によってローン残高はゼロになるため、住宅ローン控除も終了になります。
【住宅ローン・住宅ローン控除の取扱い】
項目 | 可否 | 詳細 |
住宅ローンを継続できるか | × | 住宅ローンがなくなる |
住宅ローン控除の適用を続けられるか | × | 住宅ローンの残高がゼロになるため、ローン残高に応じて適用される減税はなくなる |
転勤を機に家を売却するメリット
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転勤を機に家を売却するデメリット
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この選択肢を選ぶ場合には、住宅ローン絡みの手続きは必要ありません。その代わりに、不動産会社に不動産売却の依頼を行い、売却時には金融機関への残債一括返済・抵当権抹消手続きを同時に行う必要があります。
「将来の不確定要素をすべて断ち切りたい」「転勤先での生活や次の住まいに向けて経済的にリセットしたい」という場合におすすめの選択肢となります。
2.住宅ローン借入中の転勤でどうするか決めるための検討要素5つ

前章で転勤が決まった際にとれる4つの選択肢を見て、新たな発見があった方も多いかもしれません。次に確認してほしいのは、ベストな選択肢を見つけるために検討すべき5つの要素です。
ライフスタイルや感情面だけで決めるのではなく、金銭的なリスクやメリットを可視化するための具体的な検討テーマを5つ解説していきます。
住宅ローン借入中の転勤でどうするか決めるための検討要素5つ 【単身赴任の場合】二拠点生活で支出がどの程度増えそうか 【控除がなくなる場合】いくら分の節税メリットが失われるのか 【空き家になる場合】現在の金利を維持できるのか 【賃貸を検討する場合】賃貸需要があるか・いくらで貸せそうか 【売却を検討する場合】いくらで売れそうか(オーバーローンにならないか) |
単身赴任であれば住宅ローンの金利も控除も維持できるためメリットが大きそうに見えますが、一方で二拠点生活で支出がどの程度増えるかを検討する必要があります。また、空き家にすることで住宅ローン控除が止まってしまう場合、百万円単位での節税メリットが失われる可能性があります。
このようにあらゆる選択肢を比較するうえで「事前に検討材料となる要素」を出しておかなければ、自分にとって最善な決断をすることはできません。
「たぶん大丈夫だろう」で進めるのではなく、きちんと検討することで、納得感のある決断ができるようになります。ぜひ自分や家族の状況を想像しながら、読み進めてみてください。
2-1.【単身赴任の場合】二拠点生活で支出がどの程度増えそうか
自分だけが転勤先に引っ越す「単身赴任」の場合、住宅ローン契約そのものや、住宅ローン控除の適用については、今の条件を維持できるケースがほとんどです。
しかしながら、「単身赴任先の生活」と「残った家族の生活」が二拠点になることで支出が増える点に注意しなければなりません。

会社によって単身赴任中の生活を支える補助が出る可能性はありつつも、二拠点生活によって毎月10万円〜15万円程度の支出増が想定されます。これに加えて今まで通りに住宅ローンの返済や住宅にかかる固定費、残った家族の生活費をまかなうことになります。
たとえば手取り月収が50万円の家庭の場合で、住宅ローン返済10万円+生活費30万円で月10万円は貯蓄に回せていたとします。ところが単身赴任で二拠点生活になった場合に持ち出しが発生して、貯蓄どころか貯金を取り崩さなければならなくなるケースがありえます。
「毎月の支出が持ち出しにならないか」「持ち出しになる分を貯金などから捻出できるか」などをしっかり計算したうえで判断しましょう。
2-2.【控除がなくなる場合】いくら分の節税メリットが失われるのか
家族全員で転勤先に引っ越したり家を賃貸に出したりする場合には、これまで恩恵を受けていた「住宅ローン控除」が受けられなくなります。
具体的に「いくら分」の節税メリットが失われるのかを計算したうえで最終判断することをおすすめします。なぜならば、住宅ローン控除は、毎年末の住宅ローン残高の0.7%にあたる金額を13年間(または10年間)にわたって控除でき、節税メリットが大きいからです(2022年度以降に住居を取得した方の場合)。
家の性能や家族構成、取得年度によっては年間で最大35万円、13年間の総額では最大455万円もの節税メリット(※)があります。
※2022年〜2024年(2024年は子育て世帯のみ)に、新築の認定長期優良住宅・低炭素住宅を購入した場合の最大値です。
※中古住宅(既存住宅)を購入された方の場合は、控除期間が原則10年間となり、省エネ基準に適合している場合の上限控除額が21万円、その他の場合最大14万円となります。
住宅ローン控除の年間控除額が大きく、残存期間も長く残っている場合は、経済的な合理性だけで言えば「単身赴任」がもっとも有利な選択肢になります。逆にすでに「控除期間が残り少ない」「ローン残高が少なくなって控除額が減っている」という場合には、他の選択肢も前向きに検討することができるでしょう。
2-3.【空き家になる場合】現在の金利を維持できるのか
賃貸の選択肢を考える上では「現在の金利を維持できるのかどうか」「金利が上がる場合はどの程度返済負担が増えるのか」を確定させてからでなければ、判断ができません。
単身赴任の場合には、金融機関にきちんと報告することで、低金利の住宅ローンを維持できるケースがほとんどです。しかしながら、全員で引っ越して空き家になる場合や第三者に貸す「賃貸」を検討している場合には、「現在の金利を維持できるのか」「賃貸ローンなどに切り替える場合、いくらローンが増えるのか」をしっかり確認しましょう。
正攻法で金融機関に問い合わせて、「短期間だけなので同条件で住宅ローンを維持できるのか」、または「不動産投資ローンなどに借り換えが必要なのか」「いくら金利が上がるのか」をかならず確認してください。
たとえば、以下のように返済額が変わるケースが考えられます。
住宅ローンを維持できた場合:毎月の返済額=約7.2万円(金利 0.525%の場合)
不動産投資ローンに借り換えが必要な場合:毎月の返済額=約8.9万円(金利 1.575%)
この場合、毎月の返済額は1.7万円増えることになります。金利はあくまで例なので、状況によってはさらに金利が高くなるケースも考えられます。
金利が上がっても家計の許容範囲に収まるのかをシミュレーションして比較することが大切です。
2-4.【賃貸を検討する場合】賃貸需要があるか・いくらで貸せそうか
「転勤の間だけ貸し出して、ローンの返済分だけでも家賃でまかなおう」と考える場合には、「そもそも貸せるのか?」「いくらで貸せるのか?」という部分を先に確認することをおすすめします。
「貸したい」という家主の希望と、実際に「借りたい」という人がいるかどうかは全くの別問題だからです。
賃貸需要があるか・いくらで貸せそうかの確認方法 ステップ1:ネット上で周辺相場を自分で調べる まずは不動産ポータルサイト(SUUMOやLIFULL HOME'Sなど)を使い、自分の家と似た条件(エリア・広さ・築年数・駅距離)の物件がいくらで募集されているかを確認します。 ステップ2:不動産会社に「家賃査定」を依頼する ネットの相場はあくまで「募集価格」であり、実際にその金額で決まるとは限りません。より実態に近い金額を知るためには、不動産会社に家賃査定を依頼して個別に査定してもらいましょう。 |
査定を依頼する場合にはかならず複数社に依頼して、査定額の根拠や空室リスクの可能性を比較しておきましょう。
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残念ながら賃貸需要がない場合には、準備をして借り手を探しても見つからない可能性があります。かならず最終判断前に調べておきましょう。
2-5.【売却を検討する場合】いくらで売れそうか(オーバーローンにならないか)
転勤を機に「家を売って身軽になりたい」と考えたとしても、自分が納得する価格で売れるとは限りません。
「家を売却する場合にいくらで売れるのか」と「住宅ローンの残債をカバーできるのか(オーバーローンにならないか)」を事前に確かめてから決断することが非常に重要です。
オーバーローンとは、住宅ローンの残債が売却額を上回ることをいいます。オーバーローンの場合には、一時的に金額を拠出する必要性が発生し、家計を圧迫することになります。

たとえば、売却額が3,500万円でローン残債が3,000万円の場合、手元に500万円が残ることになります(諸経費を除く)。一方で、売却額が2,700万円でローン残債が3,000万円の場合(オーバーローン)、300万円の不足が発生するため貯金から捻出しなければならなくなります。
ネットの相場だけでなく、実際に複数社の売却査定を受けて、いくらで売れそうかを把握しておくことが大切です。
3.住宅ローン借入中の転勤のベストな決断を出すためのフローチャート

ここまで、住宅ローンが残っている状態での転勤について、取りうる選択肢と検討すべき項目について解説してきました。
「結局のところ、自分の場合はどの選択肢がベストなの?」とまだ迷う場合には、以下のフローチャートに沿って状況を整理してみてください。
※世帯を持っている方向けのフローチャートです。独身の方は、チャートの上から2段目からスタートしてください。

もちろんすべてのケースにおいてこのフローチャート通りに明確に決断できる訳ではありませんが、ひとつの参考として活用いただければ幸いです。
いずれにしても、「住宅ローン控除はいくら残っているのか」「金利は維持できるのか」とともに、「自分の家がいくらで売れるのか」「貸せるのか」などの判断材料がなければ最終的な判断は下せません。
家族と相談するとともに、金融機関と不動産会社に相談したうえで納得のいく決断を検討しましょう。
4.まずは判断材料を揃えるために金融機関の相談・査定を行おう

フローチャートを通じて、ご自身の状況に合った「損をしない道」の方向性は見えてきたでしょうか。進むべきルートの目星がついたら、次はその決断を「確信」に変えるための具体的なアクションが必要です。
本章では、理想論ではなく現実の数字に基づいた最終判断を下すために欠かせない、「はじめの一歩」に該当する2つを解説していきます。
住宅ローン中の転勤でベストな選択肢を選ぶための「はじめの一歩」
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失敗しないためになぜこのステップが必要になるか、イメージしながら読み進めてみてください。
4-1.どの選択肢を選ぶ場合も金融機関への相談は不可欠
どの選択肢を選ぶにせよ、住宅ローンの契約条件に関わる以上、借入先の銀行とのコミュニケーションは避けて通れません。
「単身赴任ならバレない」「空き家にするだけなら大丈夫」と自己判断せず、まずは正直に相談しましょう。単身赴任であれば、基本的には住所変更の手続きだけでスムーズに済むことがほとんどです。
最も避けたいのは、転勤の事実を告げずに自己判断で引っ越しや賃貸を済ませてしまうことです。この場合、発覚した場合に「ローンの一括返済」を求められるなど、最悪のケースに発展しかねません。また、自己居住用と賃貸用では火災保険も違ってくるため、保険の告知義務違反で保険金が降りないといった事態も起こりえます。
「バレないでしょ」と思う方もいるかもしれませんが、「転送不要」の郵便物が届かないことをきっかけに金融機関にバレる可能性は十分あります。
「金利が上がってしまうかも」という不安はあっても、かならず金融機関に事情を正直に話して回答をもらうことが欠かせません。
4-2.売却査定・賃料査定で判断材料をそろえる
売却や賃貸の可能性を検討する場合には、不動産会社に査定を依頼して「実際いくらで売れそうか」や「賃貸に出したらどのくらいの家賃で貸せそうか」を判断材料として揃えておくことをおすすめします。
売却査定の流れ
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賃料査定の流れ
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判断材料を揃えたうえで転勤後の収支シミュレーションを作り、どの選択肢が自分にとって最適かを検討しましょう。
5.住宅ローン借入中の転勤にまつわるよくあるQ&A

ここまで、住宅ローン返済中に転勤が決まった場合に後悔しない決断を下すための、さまざまな情報をお届けしてきました。
最後に、迷いやすいポイントをQ&Aの形式でまとめたので、気になる方はぜひ確認してみてください。
5-1.家族全員で転居した場合、金利が上がることはありますか?
【答え】ありえます。かならず事前に金融機関に確認しましょう。
住宅ローンは「本人・家族が居住すること」が条件で、特別に低い金利で貸してくれる契約となっています。家族全員で転居して空き家になる場合、「契約違反」と見なされるリスクがあります。
とくに第三者に貸し出す場合は、居住用ではなく利益目的とされることがあり、「不動産投資用ローン」への切り替えを求められることもあるでしょう。その場合は一般的に金利が2%程度まで上がることがあるため注意が必要です。
ただし、数年で戻る前提の転勤であれば、銀行によっては住宅ローン金利のまま据え置いてくれる場合もあります。金融機関の方針や転勤の期間などによって判断が異なる場合もあるため、かならず相談して了承を得たうえで判断しましょう。
5-2.売却価格がローン残債を下回った場合はどうなりますか?
【答え】原則として、足りない分は「自己資金(貯金)」から持ち出して完済する必要があります。
不動産を売却するには、銀行の抵当権を抹消しなければならず、そのためにはローンの完済が条件となります。
自己資金からの補填が難しい場合は、完済を前提としない「住み替えローン」を利用するか、売却を諦めて「賃貸」に出し、ローン残高が減るのを待つといった選択肢を検討することになります。
5-3.転勤が長期化した場合、途中で方針変更はできますか?
【答え】方針変更は珍しくなく、その都度ベストな選択肢を検討すべきです。
例えば、「最初は空き家で維持していたが、転勤が5年以上に及ぶので賃貸に出す」「賃貸に出していたが、修繕費がかさむので売却する」といった方針変更は珍しくありません。
ただし、方針を変えるたびに「銀行への相談」と「火災保険の切り替え」が必要になる点は忘れないようにしましょう。
5-4.住宅ローン借入中の転勤で、気をつけておくことは何かありますか?
【答え】住宅ローン返済と住宅の維持費がダブルで家計を圧迫することを覚悟しておきましょう。
単身赴任の場合には「二拠点生活」で生活費が増大しますし、家族全員で引っ越した場合にも「住んでいない家」に対しての維持費が重くのしかかってきます。
家に住んでいてもいなくても、そして第三者に賃貸している場合であっても、固定資産税やマンションの管理費・修繕積立金、壊れた部分の修繕費などがかかることを意識しておくと良いでしょう。
6.転勤中の住宅ローン支払いが厳しいなら賃貸も視野に入れよう

「転勤後には愛着のある家に帰りたいけれど、ローン返済と転勤先での生活費で資金繰りが厳しい」というケースでは、第三者に家を貸す「賃貸」という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
「人に家を貸すのは抵抗がある」という方も多いかもしれませんが、収支が赤字になってしまう場合は、検討に値する選択肢と言えるはずです。
ただし安易に貸し出してしまうのは危険です。貸し出す際には以下のポイントにしっかりと気を付けたうえで、賃貸を開始しましょう。
転勤中に後悔せずに賃貸に出すためのポイント
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7.まとめ
本記事では「住宅ローンと転勤」についてさまざまな情報を解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆住宅ローン借入中の転勤で取り得る選択肢は4つ
【単身赴任】家族は残って本人だけ引っ越しをする
【家族帯同】家族も一緒に引っ越して空き家にする
【賃貸】転勤の間だけ家を第三者に貸す
【売却】転勤を機に住宅ローンを完済して家を売却する
◆住宅ローン借入中の転勤でどうするか決めるための検討要素5つ
【単身赴任の場合】二拠点生活で支出がどの程度増えそうか
【控除がなくなる場合】いくら分の節税メリットが失われるのか
【空き家になる場合】現在の金利を維持できるのか
【賃貸を検討する場合】賃貸需要があるか・いくらで貸せそうか
【売却を検討する場合】いくらで売れそうか(オーバーローンにならないか)
◆まずは判断材料を揃えるために金融機関の相談・査定を行おう
どの選択肢を選ぶ場合も金融機関への相談は不可欠
売却査定・賃料査定で判断材料をそろえる
「売却は難しい」「でも住宅ローン支払いも厳しい」という場合には、賃貸もという選択肢も検討してみましょう。賃貸管理会社に一括で相談したいなら、ぜひ「いざ貸す」をご活用ください。
Author
河上 隼人 HAYATO KAWAKAMI
株式会社エイムプレイス 代表取締役
1980年11月8日生まれ 広島県出身
インターネットメディア事業「いざ貸す」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。

