転勤・海外赴任時の家の扱い

単身赴任でも住宅ローンの金利・控除は継続可能!条件5つを徹底解説

戸谷 太祐 監修者:戸谷 太祐
単身赴任でも住宅ローンの金利・控除は継続可能!条件5つを徹底解説

「単身赴任で家族が残るなら、住宅ローン控除の節税メリットは消えないよね?」

「単身赴任であっても、銀行や税務署に相談しないといけないのかな?」

「急な転勤だけど、単身赴任なら一括返済とか求められないはずだよね?」

急な転勤や単身赴任が決まり、「住宅ローンはどうしたらいいの?」「控除はそのまま残るのかな?」と不安になっている方も多いかもしれません。

結論からいえば、家族が自宅に残る単身赴任であれば、「住宅ローン(低金利)」の継続も、「住宅ローン控除(節税)」の適用も、原則として継続できます。

しかしながら厳密にいうと、維持できるための細かい条件が決まっているため、その条件から外れないように注意が必要です。

この記事では、以下の2つについて丁寧に説明して、「こんなはずじゃなかった」を回避できるよう解説していきます。

  • 住宅ローン契約(低金利)を継続するための2つの条件

  • 住宅ローン控除(節税)を継続するための3つの条件

正しい条件と実務上の手続きさえ押さえておけば、無駄な不安を抱える必要はありません。

読み終える頃には、転勤先での単身赴任の生活を安心してスタートさせることができるはずです。ぜひ最後までお読みください。

1.単身赴任なら「住宅ローン継続」も「控除」も原則継続できる

結論からお伝えすると、家族が自宅に残る「単身赴任」であれば、「住宅ローン」の契約そのものも、「住宅ローン控除の適用」も、これまで通り継続することが可能です。

住宅ローンは原則として「契約者本人の居住が条件」ですが、転勤などのやむを得ない理由があり、家族は変わらずに住み続けて、そして転勤が終われば戻ってくるような状況なら、そのまま継続できるケースがほとんどです。

これについて、さらに詳しくは「2.単身赴任で住宅ローンを継続するための2つの条件」で解説します。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)もまた、原則として「お金を借りた本人」が居住することが原則として必要です。しかしながら、転勤などのやむを得ない理由がある場合にも、控除を続けるための特例が用意されています。

これについて、さらに詳しくは「3.単身赴任で住宅ローン控除を継続するための3つの条件」で解説します。

ただしどちらも注意点があるため、2章・3章で「間違いなく継続するための条件」を理解することが大切です。詳しく説明するので、ぜひ読み進めてみてください。

2.単身赴任で住宅ローンを継続するための2つの条件

前章では、単身赴任になっても家族が住み続けるのであれば、住宅ローンや控除は原則として継続できるという結論だけをお伝えしました。

住宅ローンは本来、契約者本人が居住することを条件に、他のローンよりも特別に低い金利で融資されるものです。この大きなメリットを手放さず、安心して単身赴任生活を送るためには、以下の条件を正しく理解しておく必要があります。

具体的には、好条件の住宅ローンを継続するためには2つの条件を満たすことが重要です。

単身赴任で住宅ローンを継続するための2つの条件

  • 家族が継続して居住&本人が戻る予定があること

  • 事前に銀行に承諾を得る&住所変更手続きを済ませておくこと

どのような状況なら住宅ローンをそのまま使い続けられるのかという明確な基準と行動を理解することで、「こんなはずじゃなかった!」という後悔を避けられます。

本人居住を条件に優遇された金利が受けられる住宅ローンを手放さず継続できるよう、しっかり理解していきましょう。

2-1.条件1:家族が継続して居住&本人が戻る予定があること

住宅ローン契約者(お金を借りている本人)が単身赴任で別の場所に引っ越すことになったとしても、家族がそのまま継続して居住し、なおかつ本人が戻る予定がある場合には、住宅ローンを同条件で継続できるケースがほとんどでしょう。

金融機関から住宅ローン継続を認められやすい例

  • 単身赴任で本人は引っ越すが、家族は住み続け、単身赴任が終わったら戻る予定である

  • 週末や長期休暇には本人が自宅に帰り、家族と過ごす場所となっている

一方で、「単身赴任ではなく家族帯同で行く」「単身赴任後に戻る予定がない」場合には、認められない可能性があります。最終的には銀行の判断に寄るため、相談しておくことをおすすめします。

※「家族が居住するための住宅ローン」も同じ条件で借りられる銀行もあり、「本人が戻らなくてもOKかどうか」は銀行によって判断が分かれます。

金融機関から住宅ローン継続を断られる可能性がある例

  • 本人も家族も全員で赴任先へ引っ越し、自宅が完全に空き家になる(※銀行に要相談)

  • 単身赴任が終わっても家に戻る予定はなく、家族だけが住む(※銀行に要相談)

  • 銀行に許可を得ずに、全員で引っ越して第三者に貸し出して家賃収入を得る(規約違反なので絶対NG)

なお、3番目の「無断で第三者に貸し出す」は絶対にNGです。最悪の場合、規約違反とみなされてローン一括返済を求められるリスクがあるので注意が必要です。

2-2.条件2:事前に銀行に承諾を得る&住所変更手続きを済ませておくこと

「2-1.条件1:家族が継続して居住&本人が戻る予定があること」で示した内容はあくまで「認められるケースが多い」というものであり、厳密には銀行によって考え方が違うことがあります。そのため、後々のトラブルを防ぐためにも、事前に銀行に承諾を得ておきましょう。

とくに単身赴任によって住民票を移転する場合は、住宅ローン契約者本人の登録住所を変更する必要があるため、確実に変更手続きを済ませておく必要があります。

単身赴任中に不安になりたくない方は、銀行に「問題がないこと」を確認したうえで、滞在先での生活を始めることをおすすめします。

3.単身赴任で住宅ローン控除を継続するための3つの条件

前章では、住宅ローンそのもの(金利や条件など)について解説しましたが、ここからは住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を継続するための条件について説明していきます。

住宅ローン控除は税務署が管轄する制度であり、銀行の判断とはまったく別問題として考える必要があります。

住宅ローンは年末ローン残高の0.7%(または1%)を所得税・住民税から控除する仕組みです。住宅の価格や契約者の年収などによって異なりますが、住宅ローン控除のおかげで年間数十万円の節税ができているという方も多いはずです。

こうした住宅ローン控除がなくなるのは家計にとって大きな痛手となるため、できれば住宅ローンを控除したいという方がほとんどでしょう。

1章ですでに「単身赴任の場合は住宅ローン控除も継続できるケースが多い」と結論を示しましたが、あらためて継続するための3つの条件について詳しく説明します。

単身赴任で住宅ローン控除を継続するための3つの条件

  • 条件1:転勤などのやむを得ない事情があること

  • 条件2:取得から6カ月以内に入居&家族は住み続ける&本人が戻る予定があること

  • 条件3:平成28年3月31日以前に住居を取得した場合は「日本国内での転勤」であること

住宅ローン控除のほうも、あくまで「本人が住むこと」が大前提であり、転勤などのやむを得ない理由の場合のみ特別に認められるという形になっています。継続できる条件に該当しているか確認しましょう。

3-1.条件1:転勤などのやむを得ない事情で単身赴任する場合

条件の一つ目は、転勤などの「やむを得ない事情」で「単身赴任」することです。住宅ローン控除を継続するためには、「本人が居住しなくなる理由」が適切であることが求められます。

以下、国税庁の表現を引用します。

(1)単身赴任等の場合

家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その家屋の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。

引用:国税庁「No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等」

会社からの辞令による単身赴任であれば、上記の「転勤」に該当するため、正当な理由として認められます。

3-2.条件2:住宅購入から6カ月以内に入居&家族は住み続ける&本人が戻る予定があること

条件の二つ目は、住宅購入から6カ月以内に入居し、家族はその後も住み続け、単身赴任後に本人が戻る予定があることです。

(1)単身赴任等の場合

家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その家屋の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。

引用:国税庁「No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等」

住宅ローンを利用して購入した家屋にすでに住んでいる場合は、単身赴任後も家族が住み続け、本人が単身赴任が終わった後に家に戻るのであれば、住宅ローン控除を維持できます。

一度も居住することなく転勤になった場合には、住宅ローン控除は受けられないので注意しましょう。

3-3.条件3:平成28年3月31日以前に住居を取得した場合は「日本国内への転勤」であること

現在の税制では海外への単身赴任であっても住宅ローン控除の継続が認められていますが、平成28年3月31日以前に住居を取得した場合は「日本国内への転勤」であることが条件となっています。

【取得時期による海外赴任時の扱いの違い】

住居取得時期

海外赴任時の扱い

平成28年(2016年)3月31日以前

単身赴任先が海外の場合は、残念ながら住宅ローン控除を適用できません。

ただし、住宅ローン控除の期間が残っている間に帰国してまた住み始めた場合には、残存控除期間について適用することが可能です。

平成28年(2016年)4月1日以後

海外への単身赴任であっても、生計を一にする家族が日本に残り、引き続きその家に住んでいれば、国内での単身赴任と同様に住宅ローン控除を受け続けることができます。

ただし、日本国内での源泉所得がない場合、そもそも差し引くべき税金がない可能性があります。

参考:国税庁「No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等」

単身赴任先が海外という方は、上記の住宅ローン控除の扱いの違いについて、しっかり確認しておきましょう。

4.単身赴任と住宅ローンに関するよくある質問Q&A

最後に、住宅ローンが残っている状態で単身赴任する際に、多くの方が疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめました。

制度の全体像は理解できても、「実際に住民票はどう動かすべき?」「銀行からの重要書類を見逃さないためには?」といった、日々の生活に直結する細かな悩みは尽きないものです。

住宅ローン控除を最大限に活用して、単身赴任中の家計管理で損をしないための具体的なアドバイスを掲載しています。気になる箇所がある方は、ぜひチェックして不安を解消しておきましょう。

4-1.単身赴任なら住宅ローン控除に関する税務署の手続きは不要?

【答え】はい、不要です。

家族を連れて転勤する場合(家に誰も住まなくなる場合)には、税務署に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出する手続きが必要ですが、単身赴任であればこの届出は不要です。

住民票を移しても、元の住所に家族が住んでいれば、住宅ローン控除には影響はありません。

ただし、例年通りに「住宅ローン控除」の申告をする手続きは必要となるので、年末調整・確定申告を忘れずに行いましょう。

4-2.単身赴任する本人が住民票を移すとローン関連書類はどこに届きますか?

【答え】原則として、金融機関へ届け出た「送付先住所」に届きます。

毎年の住宅ローン控除の申告に欠かせない「年末残高証明書」は、非常に重要な書類となりますので、かならず手元に届くようにするのがおすすめです。

単身赴任先からなかなか戻れない場合には、住宅ローン返済先の金融機関に「住所変更手続き」を行い、単身赴任先に届くようにしておくと良いでしょう。

4-3.単身赴任先に住民票を移さなくてもいいの?

【答え】原則としては住民票を移す必要がありますが、生活の拠点が自宅にあると認められる場合は、移さないケースもあります。

法律(住民基本台帳法)では、転居から14日以内に住民票を移すことが義務付けられています。ただし、1年以内の単身赴任である場合や定期的に帰省して生活の拠点が変わらない場合には、例外として住民票を移さなくても認められる可能性があります。

しかしながら、住民票を移さないと、単身赴任先での行政サービスをスムーズに利用できないなどのデメリットもあります。メリット・デメリットを踏まえたうえで、住民票を移すかどうかを決定しましょう。

4-4.単身赴任のタイミングで住宅ローンを借り換えできる?

【答え】借り換えは可能ですが、単身赴任中の借り換えは、通常よりも審査が厳しくなる傾向にあります。

住宅ローンのタイミングに合わせて「借り換え」を検討する人は多いでしょう。しかしながら、単身赴任中の住宅ローン審査では、二重生活(単身赴任先の家賃や生活費)による支出増を懸念して審査が厳しくなる可能性があります。

また、契約者本人が住居に住まないことをマイナスに捉えられ、「第三者に貸そうとしているのでは?」などの疑念を抱かれる可能性もあります。

その結果、今よりも良い条件での借り換えは難しくなるケースがあるので注意しましょう。

4-5.単身赴任ではなくて家族で引っ越したらどうなる?

【答え】家族も一緒に住まなくなる場合、住宅ローン控除は一時停止となるので注意しましょう。

家族全員で赴任先へ引っ越す場合、住宅ローン返済中の家に誰も住まなくなるため、住宅ローン控除の条件である「本人または生計を一にする親族の居住」を満たせなくなります。そのため、住宅ローン控除は停止となります。

家を空ける前に税務署へ「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出しておけば、自宅に戻ってきた際に「残りの控除期間」について再適用が可能です。(控除期間が残っていなければ適用は受けられません。)

このように、単身赴任と家族帯同での転勤では、住宅ローン控除の扱いに差が出るため、どちらを選ぶかは慎重に決定することをおすすめします。

なお、転勤の場合に住宅ローンをどうするかについては、「住宅ローン借入中の転勤で取りうる4つの選択肢と後悔しない判断基準」の記事もぜひ参考にしてみてください。

単身赴任ではなく家族全員で転勤するなら

「一時的に貸す」という選択肢も検討しよう!

「転勤が決まったけど住宅ローン返済中だから単身赴任するしかないかな」と考えている方は多いかもしれません。

せっかく手に入れたマイホームですし、低金利な住宅ローンや毎年の減税メリットを考えると、家族を残して自分だけが単身赴任先へ向かうのが「一番損をしない選択」に思えますよね。

しかし、もう一つの選択肢として、「自宅を貸し出して、その賃料で住宅ローンの返済をまかなう」という選択肢も検討してみるのはいかがでしょうか。

「金融機関が住宅ローン返済中の賃貸を認めているか」に注意する必要はありますが、まずは「もし貸し出したら需要があるのか?」「賃貸するならいくらで貸し出せそうか?」を確認してみることをおすすめします。

賃貸の可能性を検討してみたいという方はぜひ、一括で賃貸管理会社に問い合わせできる「いざ貸す」をご活用ください。

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5.まとめ

本記事では「単身赴任と住宅ローンの関係」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

◆単身赴任で住宅ローンを継続するための2つの条件

  • 家族が継続して居住&本人が戻る予定があること

  • 事前に銀行に承諾を得る&住所変更手続きを済ませておくこと

◆単身赴任で住宅ローン控除を継続するための3つの条件

  • 条件1:転勤などのやむを得ない事情で単身赴任する場合

  • 条件2:住宅購入から6カ月以内に入居&家族は住み続ける&本人が戻る予定があること

  • 条件3:平成28年3月31日以前に住居を取得した場合は「日本国内への転勤」であること

◆単身赴任と住宅ローンに関するよくある質問Q&A

  • 単身赴任なら住宅ローン控除に関する税務署の手続きは不要?

  • 単身赴任する本人が住民票を移すとローン関連書類はどこに届きますか?

  • 単身赴任先に住民票を移さなくてもいいの?

  • 単身赴任のタイミングで住宅ローンを借り換えできる?

  • 単身赴任ではなくて家族で引っ越したらどうなる?

単身赴任ならば「住宅ローン継続」も「控除」も原則継続できます。単身赴任中の他の選択肢も検討しながら、後悔のない決断を行いましょう。

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Author

戸谷 太祐

戸谷 太祐 TAISUKE TOYA

株式会社エイムプレイス 社外取締役

1981年5月9日生まれ

「いざ貸す」では、記事の発信やマッチングの仕組みを通して、初めての方でも安心して比較・検討できる環境を提供することにこだわっています。オーナー様が自ら納得しながら判断できることが、安定した賃貸経営の第一歩だと考えています。

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