不動産経営とは?初心者が押さえておきたい仕組み・メリット・注意点

河上 隼人 監修者:河上 隼人
不動産経営とは?初心者が押さえておきたい仕組み・メリット・注意点

「不動産経営は節税になると聞いたけど、高い買い物をする訳だし不安」

「不動産経営に興味はあるが、リスクはコントロールできるものなんだろうか?」

資産形成や節税、副業として不動産経営に興味を持ち始めたものの、「本当に利益が出るものなのか」「リスクや注意点も知っておきたい」という方は多いのではないでしょうか。

不動産経営は、一度仕組みを作ってしまえば、毎月安定した家賃収入を得られる堅実なビジネスといえます。とくに、賃貸需要が途切れない好立地の物件を「有利な融資条件」で取得できる場合におすすめです。

しかし当然ながら、注意しなければならないリスクも存在します。

本記事を読み終える頃には、ご自身が「不動産経営に向いているのかどうか」がわかり、安定した家賃収入を得るまでの流れも理解できるはずです。ぜひ最後までお読みください。

1.不動産経営とは

まずは、不動産経営の言葉の意味と、収益を得られる基本的な仕組みについて解説していきます。

不動産経営は、株や投資信託のような短期的な投資ではなく、家賃という安定した利益を積み上げていく事業・ビジネスです。

基本を正しく理解することで、目先の価格変動や高い利回りに惑わされず、長期的に収益の柱を築くための土台が整います。

一人の経営者として不動産物件を運営する姿をイメージしながら読み進めてみてください。

1-1.不動産経営とは:賃貸収入で収益を上げるビジネス

不動産経営とは、購入・建築した不動産(マンション・アパートなど)を第三者に貸し出して、毎月家賃収入を得ることで収益を上げる事業のことです。

安く買って高く売る「キャピタルゲイン(売却益)」を重視する「不動産投資」と異なり、「不動産経営」では、長期的に安定した収益を積み上げる「インカムゲイン(家賃収入)」としての側面を重視します。

不動産経営が事業的規模と見なされる条件として「5棟10室基準」が知られており、「戸建て5棟以上、または集合住宅10室以上」だと青色申告が可能な「事業」として認められる水準とされています。

1-2.不動産経営の仕組み

不動産経営で得られる収益には、大きく分けて「インカムゲイン(家賃収入)」と「キャピタルゲイン(売却益)」の2種類があります。

【インカムゲインとキャピタルゲインの違い】

インカムゲイン

(家賃収入)

入居者から毎月支払われる家賃

不動産を所有している間、安定したキャッシュフローをもたらしてくれる

キャピタルゲイン

(売却益)

売却時に、購入時より高く売れた場合に得られる、一時的な利益のこと

不動産が値上がりする確証はなく、売却損が出ることもある

たとえば、1億円で購入した物件(年間家賃収入500万円)を10年間運用して1.1億円で売却した場合、

  • インカムゲイン:年間の賃料収入500万円 × 10年間 = 5,000万円

  • キャピタルゲイン:売却価格1.1億円 - 購入価格1億円 = 1,000万円

となります。

インカムゲインは長期の運用期間中に着実に積み上がっていく利益であるのに対し、キャピタルゲインは売却時の市場環境に左右されるため、必ず得られるという確証がない利益といえます。

2.不動産経営の種類は大きく分けて3つ

ここからは、具体的に「不動産経営にはどのような種類があるのか」を解説していきます。

一口に「不動産経営」といってもいくつかの種類があり、それぞれ収益性やリスクの性質が異なります。

【不動産経営の種類】

区分マンション経営

  • 一棟経営よりも初期投資を抑えてスタートできる

  • 共用部の管理がないため、手間が最小限で済む

一棟アパート経営・

一棟マンション経営

  • 全部屋を貸し出すため、1部屋が空室になっても収益がゼロにならない

  • 区分経営に比べて利回りが高く、キャッシュフローを最大化しやすい

戸建て賃貸経営

  • ファミリー層の需要が高く、一度入居すると長期間の入居が見込める

  • 管理規約などに縛られず、ペット可やDIY可など独自の経営判断ができる

少額から手軽に始められる「区分マンション投資」、収益を上げやすい「一棟経営」、長期間の入居が見込める「戸建て賃貸経営」のそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

ご自身の資産状況や将来のライフプランと照らし合わせながら、どの種類が向いているかイメージして読み進めてみてください。

2-1.区分マンション経営(ワンルーム・ファミリータイプなど)

区分所有とは、マンションやアパートを丸ごと買うのではなく、その中の一部屋(一戸)だけを購入して入居者に貸し出す方式です。

建物全体の補修や維持管理はマンションの管理会社が行うため、オーナーが気を配るべき範囲は、所有している部屋の中だけに限定されます。

【区分マンション経営の特徴まとめ】

投資対象

  • 単身向けワンルームマンションの一室

  • ファミリー向け分譲マンションの一室など

メリット

  • 一棟経営よりも初期投資を抑えてスタートできる

  • 共用部の管理がないため、手間が最小限で済む

  • 流動性が高く、出口戦略(売却)の判断が容易に行える

デメリット

  • 一棟経営と比べると利回りが低くなりやすい

  • 一部屋しか持っていない場合、空室が出ると収益がゼロになる

一棟丸ごと購入する場合と比べて購入費用を大幅に抑えられるため、これから不動産経営を始めたい方の「一歩目」に向いている形式といえるでしょう。

2-2.一棟アパート経営・一棟マンション経営

アパートやマンションの建物一棟とその敷地を丸ごと購入して、全部屋を入居者にそれぞれ貸し出す方式です。

建物全体の補修やメンテナンス、共用部の維持管理もオーナー自身がコントロールする必要があるため、より経営者としての管理能力や判断が求められます。

【一棟アパート・一棟マンション経営の特徴まとめ】

投資対象

  • 木造や軽量鉄骨造のアパート一棟

  • 鉄筋コンクリート造(RC)のマンション一棟など

メリット

  • 全部屋を貸し出すため、1部屋が空室になっても収益がゼロにならない

  • 区分経営に比べて利回りが高く、キャッシュフローを最大化しやすい

  • 敷地全体を所有するため、建物が老朽化しても資産価値が残りやすい

デメリット

  • 区分マンション経営に比べて、初期投資の金額が非常に大きくなる

  • 外壁塗装や屋根修繕、共用部など、建物全体の維持費用もまかなう必要がある

一部屋単位で購入する区分投資と比べて事業規模が格段に大きくなるため、不動産経営を本格的に事業として確立したい方に適した形式といえるでしょう。

2-3.戸建て賃貸経営

戸建賃貸経営とは、一戸建ての住宅を購入し、まるごと一軒を入居者に貸し出す方式です。主にファミリー層をターゲットとした経営スタイルとなります。

【戸建て賃貸経営の特徴まとめ】

投資対象

  • 中古の戸建て住宅

  • 新築の注文住宅や建売住宅

メリット

  • ファミリー層の需要が高く、一度入居すると長期間の入居が見込める

  • 管理規約などに縛られず、ペット可やDIY可など独自の経営判断ができる

  • 将来的に実需層(居住用)へ売却できるため、出口戦略の選択肢が広い

デメリット

  • 1軒のみの所有では、空室時に収益が完全にゼロになる

  • 築古物件の場合、予期せぬ大規模な修繕(シロアリ・雨漏りなど)が発生しやすい

集合住宅を建てられない小さな土地を所有している場合や、相続で戸建ての家を引き継いだ場合などには、戸建て賃貸経営が最適です。

3.不動産経営を始める5つのメリット

不動産経営の仕組みや種類について理解したところで、この章では「不動産経営は実際なにが良いのか?」「なぜ多くのオーナーが不動産経営を選ぶのか」について深掘りしていきます。

不動産経営は、オーナー自らが仕組みを構築し、長期にわたって確実な利益を創出していく「堅実なビジネス」です。他の事業にはない独自のメリットを活用することで、強固な経営基盤を築くことが可能になります。

不動産経営を始める5つのメリット

  • 長期的に安定した収入を得ることができる

  • 実務のほとんどを外部に委託できる

  • 物件を担保にして自己資金以上の規模でスタートできる

  • インフレに強い「形のある資産」が手元に残る

  • 所得税や相続税など多方面で「節税」が期待できる

不動産経営が「安定」「不労所得」と言われる理由がなぜなのか、イメージしながら読み進めてみてください。

3-1.長期的に安定した収入を得ることができる

不動産経営の最大のメリットは、一度収益の仕組み(物件の購入と客付け)を構築してしまえば、長期間にわたって手堅い収入を得られる点にあります。

たとえば家賃8万円のワンルームマンションに一度入居が決まれば、そこから何年間もオーナーが何もしなくても、年間92万円の家賃収入が安定して入ってきます。

通常のビジネスでは、競合の出現やトレンドの変化によって月々の売上が大きく変動するのが一般的です。しかし、不動産経営における家賃は「契約」に基づいた固定収入であるため、空室を除けば毎月一定の家賃収入を得られます。

入居者を見つけてしまえば、経営者が現場で毎日営業活動をしなくても、一定期間収入をもたらしてくれます。「将来の収益予測(見通し)」が極めて立てやすいことは、他の不確実なビジネスにはない不動産経営ならではの強みといえます。

3-2.実務のほとんどを外部に委託できる

不動産経営の大きなメリットとして、実務のほとんどを不動産会社に委託でき、オーナー自身が労働力として縛られない点もあります。この特徴から不動産経営は「不労所得」と呼ばれることもあります。

一般的なビジネスを立ち上げる場合には、とくに初期段階において、経営者自身が精力的に営業・顧客対応・事務などの対応に追われることとなります。

しかし不動産経営では、入居者募集や契約手続き、家賃回収、物件管理、問い合わせ対応、退去時の立ち会いに至るまで、不動産会社(仲介会社・管理会社など)に委託することが可能です。

管理を委託した場合、「管理会社からの報告の確認」や「修繕などの経営判断」に限定され、オーナーは自分の時間を自由に使うことが可能になります。自分の時間を切り売りせずに資産を形成したい人にとって、このメリットは非常に大きいといえるでしょう。

3-3.物件を担保にして自己資金以上の規模でスタートできる

物件を担保にすることで、新規参入者でも金融機関から融資を引き出しやすく、自己資金以上の規模で事業をスタートできるというメリットもあります。

たとえば自己資金として1,000万円しか出せなくても、物件の資産価値が認められれば、融資を活用して「1億円の一棟マンション」の賃貸経営を始めるということが可能です。

通常のビジネスでも実績や将来性があれば融資は受けられますが、その審査ハードルは極めて高く、経営者の手腕や事業の成功確率が厳しく問われます。

一方で不動産経営は、購入する物件自体に「資産価値」があるため、物件を担保に融資を引き出すことが可能となります。つまり経営者に実績がなくても数千万円から億単位の資金を借りて、不動産経営をスタートすることができます。

このように、融資を最大限に活用して事業規模を拡大できることは、不動産経営における大きな戦略的メリットといえます。

3-4.インフレに強い「形のある資産」が手元に残る

不動産経営の大きなメリットとして、手に入れた物件が「実物資産(形のある資産)」として形に残り、インフレ局面でも価値を維持しやすい点も欠かせません。

一般的なビジネスの場合、もし事業に失敗すれば多額の借金が残り、場合によっては大量の在庫を抱えるケースもあります。

しかし、不動産経営で購入した物件は実物資産として手元に残ります。たとえ将来的に建物が老朽化して取り壊すことになったとしても、土地の価値は残りますので良い立地であれば売却ができます。

また、現金や預金は物価が上がる「インフレ」が起きると相対的に価値が目減りしてしまいます。しかし不動産は物価の上昇に合わせて価格や家賃も上がる傾向があるため、大切な資産の価値を維持し続けることができます。

不動産は、形のある「実物資産」であり価値が下がりにくい点が、大きなメリットといえます。

3-5.所得税や相続税など多方面で「節税」が期待できる

最後に紹介するメリットは資産を防衛するという目線です。不動産経営は、現金をそのまま持っている場合に比べて、税制面での優遇措置を受けやすいためです。いままで築き上げた資産を税金による目減りから守るための強力な手段となります。

具体的には、減価償却費などで所得そのものを下げて所得税を減らしたり、資産評価額を下げて相続税・贈与税を下げたりするなどの節税が可能です。

不動産経営で節税できる例

  • 支出をともなわない「減価償却費」を経費として計上できる

  • 管理費や修繕費など、経営にかかった諸費用を幅広く経費にできる

  • 経営上の赤字を給与所得など他の所得と相殺(損益通算)できる

  • 青色申告特別控除や専従者給与などの各種控除が適用できる

  • 現金よりも資産の評価額が下がるため相続税や贈与税を抑えられる

  • 借入金を活用することで、相続時の評価額をさらに圧縮できる

  • 収益が大きくなった際に法人化することで所得税率を下げられる

給与所得の本業がある方の場合は、不動産所得がマイナスの場合に、損益通算(赤字を他の黒字から相殺できる仕組み)により全体の課税所得を下げて所得税を減らすということも可能です。

さらに詳しく知りたい方は、「賃貸経営で節税する方法7つ解説|それでも利益を残すのが大事な理由」の記事もご覧ください。

ビジネスとしての安定性とは別に、ご自身の大切な資産を守り抜く力が備わっていることが、不動産経営の大きなメリットといえます。

4.不動産経営を始める上での3つの注意点

3章では不動産経営のメリットについて解説してきましたが、何事にも、良い面だけでなく悪い面(気を付けなければならないこと)があります。

失敗しないためには、悪い面から目を背けずにしっかりと対峙して、それらのリスクをコントロールすることが大切です。

不動産経営を始める上での3つの注意点

  • 空室・滞納・災害など特有のリスクが存在する

  • 建物の修繕コストがかかる

  • 出口戦略を考えていないと売れ残るリスクがある

こうした注意点をあらかじめ正しく把握して、適切な対策を講じておくことが重要です。どの論点も重要なので、しっかり確認してください。

4-1.注意点1:空室・滞納・災害など特有のリスクが存在する

不動産経営は「長期的に安定した収入が得られる」というメリットがある反面、不動産経営には特有のリスクも存在します。

経営者として、以下の主要なリスクを網羅的に把握しておき、事前にリスクヘッジする手段を備えておく必要があります。

空室リスク

入居者が決まらず、家賃収入が途絶えてしまうリスクです。空室リスクを抑えるためには「需要のあるエリア・物件を選ぶこと」や「集客力のある賃貸管理会社と提携する」などの対策を講じておくことが大切です。

家賃滞納リスク

入居者はいるものの、家賃が振り込まれず回収の手間やコストがかかるリスクです。入居審査を厳格に行うことに加え、「家賃保証会社への加入」を必須条件にすることで、万が一の際の回収不能リスクを回避できます。

災害リスク

地震・火災・水害などにより、建物という実物資産が損壊する物理的なリスクです。火災保険や地震保険への加入はもちろん、購入前にハザードマップを確認して、災害リスクの低い立地を選定することが最大の防御策となります。

家賃下落リスク

市場の変化や築年数の経過により、募集家賃を下げざるを得なくなるリスクです。定期的に設備をアップデートしたり、リノベーションによって物件の魅力を維持したりすることで、家賃水準の低下を最小限に抑えられます。

資産価値下落リスク

地価の変動や社会情勢の変化により、物件の売却可能価格が想定を下回るリスクです。再開発の予定があるエリアや、人口流入が安定している地域など、資産価値が維持されやすい物件を厳選することが重要です。

さまざまなリスクがあるものの、事前にしっかりと対策をしておくことでリスクをコントロールすることが可能です。経営者としてあらかじめ対策を講じておくことが、ビジネスを成功させるために重要な行動となります。

4-2.注意点2:建物の修繕コストがかかる

「実務を外部に委託できるため手離れが良い」のが不動産経営の魅力ですが、経営判断として「建物の維持管理」にかかる支出だけは、オーナー自身が責任を持って管理しなければなりません。

性質上、時間の経過とともに建物や設備が劣化していくことは避けられないためです。

具体的には、10年〜15年というスパンで設備の見直しや大規模修繕が必要になり、まとまった費用が発生することをあらかじめ覚悟しておく必要があります。

想定しておくべき修繕コストの例

  • 10年~15年周期で必要となる外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕(百万円・数千万円規模で費用が発生することもあり)

  • エアコンや給湯器など生活に欠かせない住宅設備(10年~15年が耐用年数の目安)

  • 入居者が入れ替わるたびに発生する原状回復費用(壁紙の張り替えやクリーニングなど)

  • 時代に遅れないよう最新の設備へ刷新するためのアップデート費用・リノベーション費用

コストをコントロールするためには、「設計段階から大規模修繕が発生しにくい施工方法を選ぶ」「定期的な点検・メンテナンスを欠かさない」「長期修繕計画を立てて修繕費を積み立てておく」などの対策をしておくことが大事です。

4-3.注意点3:出口戦略を考えていないと売れ残るリスクがある

不動産経営を始める時点で将来の売却までを見据えた「出口戦略」を立てておかないと、将来「いざ物件を売却しよう」というタイミングで売れ残ってしまうリスクがあります。

不動産は即座に現金化できる資産ではなく、売却には通常3カ月〜半年程度の期間を要します。また、欲しい人がいなければ1円でも売れない可能性もあります。

目先の利回りの高さにばかり意識が向き、数十年後の売却のしやすさを軽視してしまうと、手放したい時に買い手が見つからず、固定資産税や維持費だけを支払い続ける「負債」を抱え込むことになりかねません。

「利回りの高さ」や「節税面」だけを見るのではなく、出口戦略も考えたうえで物件を判断することが重要です。

5.不動産経営がおすすめの4つのケース

ここまで説明したように、不動産経営には多くのメリットがある一方で、気を付けなければならない注意点も存在します。不動産経営は万人に向いているビジネスではなく、成功しやすい条件を揃えることができる場合におすすめといえます。

そこで本章では、どのような場合に不動産経営が向いているかを解説していきます。

不動産経営がおすすめの4つのケース

  • 好立地な物件を運用できる場合

  • 本人の属性が高く「良い融資条件」を引き出せる場合

  • 節税効果が高い高所得者・資産家の場合

  • 自分でも勉強して長期的な目線で判断できる場合

不動産経営をスムーズにスタートさせたいならば、ある程度の年収要件と勉強し続けるやる気が欠かせません。自分がこれらの条件に該当するかどうかをイメージしながら、冷静に読み進めてみてください。

5-1.好立地な物件を運用できる場合

不動産経営がおすすめなのは、資産価値や賃料が下がりにくい「好立地」の物件を運用できる場合です。

よく「不動産経営は立地がすべて」と言われますが、決して大げさな表現ではなく揺るぎない事実です。周辺環境や人口動態といった外部要因を個人の努力で変えることはできず、良い立地を選べるかどうかで、経営の難易度は天と地ほどの差が生まれます。

もちろん、地方や郊外での経営が不可能というわけではありませんが、工夫が必要となります。特別な戦略なしに安定した収益と資産価値の維持を狙うのであれば、やはり「好立地」という条件は外せません。

不動産経営に向いている例

  • ターミナル駅から徒歩圏内など、将来にわたって高い賃貸需要が見込めるエリアを確保できる

  • 人口流入が続いている都市部など、資産価値が目減りしにくい場所を選定できる

  • 退去が発生してもすぐに入居者が見つかるという確信が持てるエリアである

不動産経営に向いているとは言えない例

  • 融資を受けても予算が1,000万円程度しか用意できず、立地の悪い物件や「おんぼろアパート」しか選択肢にない

  • 需要がないエリアで相続した一軒家を、これといった勝算もないまま安易に賃貸に出そうとしている

  • 利回りの高さ(物件価格の安さ)だけに惹かれ、将来の空室リスクや再販の難しさを軽視している

買値が安い古民家を買うよりも、しっかり融資を引いて賃貸需要が途切れないエリアの物件を運用する方が、経営の成功確率は高いといえます。

5-2.本人の属性が高く「良い融資条件」を引き出せる場合

不動産経営がおすすめなのは、医師や上場企業勤務で年収2,000万円以上など本人の属性が高く、金融機関から「良い融資条件」を引き出せる場合です。

とくに影響が大きいのが金利の差となります。たとえば同じ1億円を30年返済(元利均等返済)で借りた場合に、金利が1%と3%と5%の場合だと以下のように返済額の負担が変わってきます。

【金利の違いによるローン返済額の違い】

項目

金利1.0%

金利3.0%

金利5.0%

月々の返済額

約32.2万円

42.2万円

53.7万円

年間の返済額

約386万円

506万円

644.4万円

総支払額

1億1,580万円

1億5,180万円

1億9,330万円

このコスト差に加えて、属性が良い人の場合、「融資枠を拡大できる」「長期での借り入れが可能」などのメリットも享受できます。

不動産経営に向いている例

  • 1%台など、他の属性の投資家よりも低い金利で借りることができる

  • 年収の10倍以上の「億単位」の融資枠を確保でき、都心の優良物件を選択肢に入れられる

  • 高い信用力を背景に、法定耐用年数に近い(あるいは超える)30年〜35年」の長期融資を組める

→ローン返済の負担が減り、空室や修繕費の発生に耐えうる潤沢なキャッシュフローを確保できる

不動産経営に向いているとは言えない例

  • 金利3%〜4%といった高利な融資しか受けられない

  • 融資期間を短く設定せざるを得ず、毎月の返済比率が高すぎて手元に現金が残らない

  • 融資枠が小さく、立地が良くはない手頃な物件しか選べない

→ローン返済の負担が大きいため手残りが少なく、突発的な修繕や空室が発生すると赤字に転落してしまう

良い融資条件を引き出せる属性があるならば、その信用を活かして他の人よりも有利に運用できる不動産経営は、極めて賢明な選択となります。

5-3.節税効果が高い高所得者・資産家の場合

不動産経営がおすすめなのは、所得税の負担が重い高所得者や、将来の相続税対策を必要としている資産家の場合です。

「3-5.所得税や相続税など多方面で「節税」が期待できる」で触れた通り、不動産経営にはさまざまな節税メリットがあります。しかし、その恩恵を最大化できるのは「もともとの税負担が重い層」に限られます。

所得税の累進課税で税金が高い方や、所有している資産の相続税の高さに悩んでいる方にとって、不動産は資産を守るための戦略として有効に機能します。

不動産経営に向いている例

  • 累進課税による所得税・住民税の負担が大きい

  • 現金を不動産に換えることで相続税の評価額を下げたい

高所得者や資産家の方にとっては、不動産はビジネスや資産運用という側面だけでなく、税金をコントロールするための役割も重要となります。

5-4.自分でも勉強して長期的な目線で判断できる場合

不動産経営がおすすめなケースとして最後に紹介するのは、「業者任せにせず自ら学びロジカルに事業判断を下せる人」の場合です。

不動産経営は「投資」とも呼ばれますが、その実態は「事業(経営)」です。営業トークや表面上の利回りに惑わされず、空室リスクや修繕コストなどを織り込んだ長期的なシミュレーションをできるかが重要です。

不動産経営に向いている例

  • 不動産会社の提案を鵜呑みにせず、周辺の賃貸需要や競合物件を自分の目で確認できる

  • リスク(空室・家賃下落・修繕費など)を数値化して、許容範囲内かどうかを冷静に判断できる

  • 常に最新の税制や金融情勢にアンテナを張り、状況の変化に合わせて経営方針を微調整する主体性がある

不動産経営に向いているとは言えない例

  • 「空室率ほぼゼロ」「想定利回り〇%」といった都合の良いシミュレーションを真に受けてしまう

  • 良い面ばかりに目を奪われて、家賃下落リスクや大規模修繕費などを想定していない

  • 利回りの高い物件購入がゴールになってしまい、出口戦略を全く考えていない

業者任せの楽観的なシミュレーションを鵜呑みにせず、自分でも学び続けることが大切です。

6.不動産経営を始める4つのステップ

ここまで、不動産経営の基礎知識やメリット・デメリット、そしてどのような人におすすめなのかを紹介しました。内容を整理したことで、「自分にもできるかもしれない」「まずは一歩踏み出してみたい」と感じた方も多いのではないでしょうか。

不動産経営を前向きに検討したい方が次にすべきことは、実際に運用を開始するまでのおおまかな流れを知っておくことです。そこで本章では、不動産経営を実際に始める場合の全体的な流れを解説します。

不動産経営を始める4つのステップ

  • 投資対象を決める(区分投資か一棟か)

  • 不動産経営のパートナーを探す(不動産会社・建築会社)

  • 物件申込・ローン審査・売買契約を行う

  • 管理会社を選定して不動産経営スタート

いきなり飛び込むのではなく、まずは大まかな進め方を知っておくことが、失敗しないための大切な準備となります。実際にご自身が不動産経営の事業を立ち上げていく姿をイメージしながら読み進めてみてください。

6-1.ステップ1:投資対象を決める(区分投資か一棟か)

まずは「区分マンション」か「一棟アパート・マンション」か、自分の目的に合ったスタイルを決めます。

不動産経営の種類の選び方

  • 手堅く少額から始めたい・管理の手間を最小限にしたいなら「区分マンション」

  • 利益率の高さなら「地方・郊外の一棟アパート」

  • 高い節税効果や相続税対策を優先したいなら「中古一棟物件」「都市部の区分マンション」

  • 将来的に自分が住む・家族に住んでもらう選択肢を持っておきたいなら「実需兼用の区分マンション」

「少額からリスクを抑えて始めたいのか」「最初から大きな利益を狙うのか」によって、選ぶべき物件が異なります。また、相続や節税などの目的も考慮して決めていきましょう。

6-2.ステップ2:不動産経営のパートナーを探す(不動産会社・建築会社)

投資の種類や目的が定まったら、その分野に強い不動産会社(パートナー)を探しましょう。

「区分マンション」であれば販売・管理に強い不動産会社、「一棟アパート」であれば土地活用や収益物件に強い会社など、選んだ種類によって相談先が異なります。また、新築を一から建てる場合には工務店やハウスメーカーが相談先になります。

不動産経営のパートナーの選び方

  • 中古の区分・一棟物件を検討しているなら「収益物件専門の不動産会社・コンサル会社」

  • 新築を一から建てて始めたいなら「収益住宅に強い工務店・ハウスメーカー」

  • 特定のエリアに絞って探したいなら「その地域に根ざした地場の不動産会社」

  • 融資付けや節税など、財務面を重視したいなら「税務に強いコンサルティング会社」

各社が提示するシミュレーションの妥当性もチェックして、リスクも含めて透明性の高い説明をしてくれるパートナーを選ぶことが大切です。

6-3.ステップ3:物件申込・ローン審査・売買契約を行う

購入したい物件が決まったら、金融機関へのローン審査の申し込みと、売買契約の手続きを並行して進めていくのが不動産経営の基本の流れとなります。

ローン特約(買主が融資を受けられなくなった場合に契約を白紙に戻せる)を付帯して契約を締結することで、物件を確実に確保しつつ、万が一融資が否認された際の違約金リスクを回避するためです。

物件申込・ローン審査・売買契約の流れ

  • 物件申し込み(買付証明書の提出):売主に対して購入希望価格や条件を提示し、交渉権を得ます。

  • ローンの事前審査:金融機関に自身の属性や物件の担保価値を判断してもらい、融資の可否を確認します。

  • 不動産売買契約の締結:重要事項説明を受けた後に手付金を支払い、ローン特約を付けて契約を結びます。

  • ローンの本審査: 契約完了後、正式に融資の申し込みを行い、最終的な承認を得ます。

物件の確保と融資の確定を同時並行で進めることが、希望する条件での購入を実現するための重要な実務プロセスとなります。

6-4.ステップ4:管理会社を選定して不動産経営スタート

物件の購入手続きと並行して、日常の運営管理を委託する賃貸管理会社の選定を行いましょう。

オーナーに代わって現場のトラブル対応や入居者募集を担う管理会社の質は、収益の安定性に直結する重要なポイントとなります。

管理会社を選定するときには、以下のポイントを参考に「安心して任せられるパートナー」に依頼しましょう。

【賃貸管理会社の選び方】

物件の入居率が95%を超えている

  • 空室対策の手法が豊富である

  • 物件エリアの情報が豊富にある

第三者から見ても信頼できる会社である

  • 管理実績が豊富である

  • 経営が安定している

  • 顧客満足度が高い

  • 営業担当者の対応が誠実である

求める業務を十分カバーできている

  • 自分が貸し出したい物件に対応しているか確認

  • 賃貸管理会社が提供するサービスを比較

管理手数料を含めコストが適切である

  • 管理手数料は3~5%が一般的

  • オプション費用も加味して総合的に判断

さらに詳しく知りたい方は、「賃貸経営を成功に導く!賃貸管理の選び方と見極めポイント4つ」もご覧ください。

管理会社選びに迷ったら「いざ貸す」にお任せください

「どの管理会社に依頼したら良いか分からない」

「複数比較したいけど、問い合わせるのが面倒」

という方は、ぜひ、ぜひ一括で問い合わせできる「いざ貸す」をご活用ください。

「いざ貸す」は、10年以上の運営実績があり、累計11万人超が利用する賃貸査定サイトです。特定の管理会社を推薦するのではなく、中立的に不動産会社を比較できるサービスとなります。

提携している650社以上の不動産会社の中から、オーナー物件条件に応じて最大6社の厳選された会社から提案が届くのが特徴です。

オーナー様は完全無料で利用できますので、安心してお気軽にお問い合わせください。

\ 最大6社を比較するから1番条件にあう会社がわかる /

7.まとめ

本記事では「不動産経営」について全体像を解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

◆不動産経営とは?

◆不動産経営の種類一覧

  • 区分マンション経営(ワンルーム・ファミリータイプなど)

  • 一棟アパート経営・一棟マンション経営

  • 戸建て賃貸経営

◆不動産経営を始める5つのメリット

  • 長期的に安定した収入を得ることができる

  • 実務のほとんどを外部に委託できる

  • 物件を担保にして自己資金以上の規模でスタートできる

  • インフレに強い「形のある資産」が手元に残る

  • 所得税や相続税など多方面で「節税」が期待できる

◆不動産経営を始める上での3つの注意点

  • 注意点1:空室・滞納・災害など特有のリスクが存在する

  • 注意点2:建物の修繕コストがかかる

  • 注意点3:出口戦略を考えていないと売れ残るリスクがある

◆不動産経営がおすすめの4つのケース

  • 好立地な物件を運用できる場合

  • 本人の属性が高く「良い融資条件」を引き出せる場合

  • 節税効果が高い高所得者・資産家の場合

  • 自分でも勉強して長期的な目線で判断できる場合

◆不動産経営を始める4つのステップ

  • ステップ1:投資対象を決める(区分投資か一棟か)

  • ステップ2:不動産経営のパートナーを探す(不動産会社・建築会社)

  • ステップ3:物件申込・ローン審査・売買契約を行う

  • ステップ4:管理会社を選定して不動産経営スタート

不動産経営を始める上で重要なパートナーとなる「管理会社」を一括で比較検討したい方は、ぜひ「いざ貸す」をご活用ください。

この記事が役に立ったら、
ぜひシェアをお願いします

Author

河上 隼人

河上 隼人 HAYATO KAWAKAMI

株式会社エイムプレイス 代表取締役

1980年11月8日生まれ 広島県出身

インターネットメディア事業「いざ貸す」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。

この記事に関連する記事

最大6社を比較するから、1番良い条件が分かる。

無料査定スタート